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season #14
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「おいら、大丈夫だから、先帰るね。」
智は立ち上がると、修の隣を走り抜ける。
修は、その智の腕を勢いよく掴む。
「ごめん……でも、一人はダメだ。危ないから。」
修は智を悲しげな表情で見つめる。
「みんな、何をそんなに心配してるの?おいら、男だよ?」
智にしては珍しく、声を荒げる。
「心配するのに、男も女もないだろ?」
「でも……大丈夫だから。」
智は修の手を振りきって走り出す。
すかさず智を追いかけ、後ろから抱きしめる。
「ごめん……俺が悪かった……。もうあんなことしないから。」
智に見つめられて、吸い寄せられて、自分を止められなかったことを後悔した。
バクバクいう心臓を必死で押さえ、それでも衝動は抑えられなかった。
彼女がいるのに、まして、男同士でキスしようとするなんて、
言い訳するしかなかった。
智は黙って動かなかった。
「ちがう……。悪いのはおいらだから。」
修とキスしたいと思った、好きになった自分が悪い。
ちょっとした冗談で返せなかった自分が悪い。
智は下唇を噛んだ。
恋してると気づいた時に、すでに失恋してるなんて……。
「智は何も悪くない。」
修は抱きしめながら、智の髪に顔を埋める。
智の匂いが、温もりが、愛おしくて、抱きしめる腕に力がこもる。
「おいらが悪いんだよ。……修君。」
智は、自分を抱きしめている修の腕に手を添える。
大好きだよ……。
大好きだから……だからおいらが悪いんだ。
「智……。」
智を傷つけた。
もう二度と、あんな顔させたくない。
俺は、自分の気持ちを一生押し殺していくよ。
智を傷つけないように。
二人はそのまま、お互いの温もりを感じて、立ち尽くした。
智を家に送り届けると、智は笑って手を振った。
さっきのことはなんでもなかったように笑う智を見て、
修も笑って手を振った。
智が家に入ると、タイミングを見計らったように、メールが届く。
ポケットから携帯を取り出して見ると、彼女からのメールだった。
修はすぐさま返信した。
今すぐ会いたいと。
近くの公園で待ち合わせた。
しばらくすると、息を切って彼女が走ってきた。
「ごめんね。待った?」
笑顔で駆け寄る彼女を、修はいきなり抱きしめた。
細い腰、華奢な肩。
彼女から、甘いいい香りが漂う。
「ど、どうしたの?」
「いいから黙って……。」
そう言って、修は彼女の唇に唇を重ねた。
彼女との初めてのキス。
強引な修の行動に戸惑っていた彼女も、体を任せ、目を閉じた。
柔らかい唇。頬を染めて、目をつぶる彼女。
修は可愛いと思った。
良い子だし、大人しいけど芯が通ってる。
でも……智に感じるものとは違う。
智となら、手を繋いだだけでドキドキするのに、
キスしてもドキドキしないどころか、加虐心まで芽生えてくる。
修は彼女の唇の間から舌を差し込む。
彼女がびっくりしているのがわかる。
そんなことはおかまいなしで、修は舌で彼女の舌を絡め取る。
わずかに抵抗する彼女の腕を掴んで、口内を蹂躙していく。
彼女は首を振り、掴まれた腕を振りほどいた。
「本当に……どうしたの?」
「どうも……しないよ。」
修が下を向いて答える。
「うそ……こんなの斉藤君ぽくない。」
「付き合ってたら、普通でしょ?この先だって……。」
修は自嘲気味に笑う。
「今日の斉藤君は……いや。」
そう言って、彼女は走って公園を出て行った。
修は下を向いたまま、しばらく考え込んだ。
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