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season #30
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「ね?押せ押せがやっぱりいいんだって!」
「そうかなぁ?」
智がクスクス笑う。
今日は雅範が智と帰ることになった。
雅範と智は二人並んで帰っていく。
「修ちゃん、絶対押せ押せに弱いって!」
「なんか……あんまりやったらウザくない?」
「大丈夫だよ。お昼だってうまくいったじゃん。」
「うん……まぁ。」
「嬉しかったでしょ?」
雅範が智の顔を覗き込む。
「え?……。」
「抱きしめられて……。」
雅範がニヤニヤ笑って智をつっつく。
智は思い出したのか、頬が染まり下を向く。
「また、サイン出してあげるから!」
「へ、変なサインはダメだよ。」
「変なサインって?」
雅範がまたニヤニヤし始める。
「マー君、今日、意地悪。」
「変なサインも欲しいでしょ?」
「マー君!」
雅範はひゃっひゃと笑い、そんな雅範を智が小突く。
すると、隣を自転車に乗った男子生徒が通り過ぎる。
1m位通り過ぎて、ブレーキがなる。
「こんにちは。」
男子生徒が振り向いて二人を交互に見る。
「こんにちは。」
智がニコニコ答える。
「仲良さそうで羨ましいな。」
男子生徒がにっこり笑った。
その笑顔を見て、雅範が首を捻る。
「うふふ。今帰り?」
「はい。」
男子生徒は、長めの髪を風になびかせる。
「そう言えば、何組なの?」
智が聞くと、男子生徒はまたにっこり笑う。
「普通科の2組……松田さんと同じクラスです。」
「そうか。ジュン君と同じクラスなんだ。ジュン君をよろしくね。」
「はい……もちろん。」
男子生徒はポッと頬を染める。
その顔を見て、また雅範は首を捻る。
「ねぇねぇ。俺、どっかで会ったことあるかな?」
雅範が話しかけると、男子生徒はちょっと考えて、首を傾げる。
あの感じ………俺、絶対こいつ知ってる。
でもどこだったかな……。
雅範も一緒に首を傾げた。
「たぶん……ちゃんと話したことはないと思うんですけど……。」
「そっかぁ……。じゃ、どっかですれ違ったりしてるのかなぁ?同じ学校だしね。」
その時、男子生徒が手にしていた携帯を落とした。
智が拾って手渡すと、男子生徒の手が触れる。
「綺麗な手ですよね……。」
男子生徒は自分の手の平の上に智の手を置き、しげしげと見つめる。
雅範は智に目をやるが、智は嫌がる風でもなく、ニコニコしている。
男子生徒は優しく智の手を離すと、微笑んで智に言う。
「今週の日曜日、お時間ありませんか?」
「日曜日?……う~ん、日曜日はごめん。もう用事があって……。」
智がすまなそうに眉を下げる。
「そうですか……残念。ではまた今度。」
男子生徒はそう言って、前を向くと自転車を漕ぎ始めた。
雅範と智はその後ろ姿をじっと見つめる。
「あいつ、誰?」
「ん?友達。」
「友達なの?」
「そう。」
智がニコッと笑う。
「あ!あれ?」
雅範がびっくりした顔をして智を見る。
「何?どうしたの?」
「あいつ、智に触ったのに、修ちゃんが来ない!」
智は一瞬びっくりして、雅範と顔を見合わせると、
二人は大声で笑った。
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