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season #38
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その日の帰り、智はドキドキしながら校門で待った。
4人の誰かに会ったら、ごまかせない。
ごまかす自信もない。
智はちょっと考えて、門の脇の木の陰に体を寄せる。
ここなら少しは隠れられる?
どうか4人が来ませんように!
智は祈るように、ギュッと目をつぶる。
「小野寺君。」
声を掛けられて、木の陰からそっと顔を覗かせる。
男子生徒がにっこり笑って智を見ている。
智はホッと胸をなでおろし、男子生徒の隣に並ぶ。
「すみません。お待たせしちゃって。」
「ううん。全然待ってないよ。」
智もにっこり笑って男子生徒に答える。
二人は並んで歩き出すと、校門を出て行った。
和哉は走って校門に向った。
帰りがけに写真部の顧問に呼び出され、なかなか離してくれなかったせいで、
智に間に合うか心配だった。
案の定、校門に着いても智の姿は見えない。
急いで校門を抜け、数百メートル走ると、智と思しき人影に追いついた。
後ろ姿だったが、和哉が智を見間違うはずはない。
隣にいるのは誰だ?
和哉は目を細めて隣の男子生徒を見つめる。
二人は親しげに会話を続ける。
和哉は二人の50m後方を二人の歩調に合わせて歩いた。
しばらく歩くと、いきなり和哉の肩が重くなる。
振り向くと、ニカッと笑う雅範が和哉の肩に体重を乗せている。
「よっ!」
額に指をかざしてカッコつける雅範。
「重い!」
和哉が体を捩って雅範の体重を逃すと、雅範は体制を崩してよろける。
「なんだよ~和哉~!俺も手伝ってやろうと思って急いできたのに。」
「雅範じゃあんまり役に立たない。」
「そんなことないよ~。」
雅範がふくれっ面で和哉を見ると、和哉はじっと前を歩く二人を見ている。
「あ、智……隣は……。」
「どうです?この間のやつ?」
和哉は二人を見たまま質問する。
「う~ん。顔が見れないからわかんないけど、背格好はあんな感じかな?」
「私も顔が見たい……回り込むのは……。」
前の二人が立ち止まる。
すかさず、和哉と雅範は電信柱の影に隠れる。
「ちょっと!雅範大きすぎ!ちゃんと隠れて!」
「そんなこと言われても……。」
和哉が電信柱から顔を覗かせ二人を見ると、男子生徒が智の二の腕を握っている。
「何してんの?」
雅範が疑わしそうな顔になって、和哉に聞く。
「さぁ、何してんでしょうね?」
「智触られてんのに修ちゃんは?」
雅範があたりをキョロキョロ見回す。
「修ちゃんは忙しいんでしょうよ。」
和哉は全く気にする様子もなく、歩き始めた二人に合わせて歩き始める。
「ちょ、ちょっと和哉!」
「バカ!声が大きい!」
和哉は振り向いて雅範の頭を叩くと、口に指を当てる。
前の二人に視線を戻すと、二人は相変わらず仲良さそうにしゃべっている。
しばらく後をつけると、たいくつしたのか雅範が和哉に話しかける。
「ねぇねぇ、何でつけてんの?」
和哉は無視して歩き続ける。
「ねぇねぇ、和哉~?」
うるさいっ!とばかりに和哉が振り返ると、
「相手の正体知るために家まで行きたいんだよ。」
と、淳一が雅範の後ろから答えた。
「ジュン君!もう終わったの?」
雅範の時とは雲泥の差で、和哉の顔が輝く。
「ちょ、ちょっと和哉、その態度の差はなくない?」
雅範の言葉は無視され、淳一は和哉に答える。
「ん、終わって猛ダッシュできた。」
淳一はにっこり笑う。
「で、どうなの?あれが、例の友達?」
「たぶん。顔が見れないからね……。雅範もわからないって。」
「そうなの?」
淳一が雅範を見ると、やっと出番だと嬉しそうに雅範がしゃべりだす。
「うんうん。後ろ姿だから、確証がないけど、たぶんあいつ。」
「なんでわかんの?」
淳一に聞かれ、雅範は得意げな顔で人差し指を頭にあてる。
「カン!」
「カンって……。」
淳一が困ったような顔をすると、和哉が淳一の袖をグイッと引っ張る。
「雅範の遊び相手はいいから!ほら、見失っちゃう!」
淳一が前の二人を見ると、ちょうど右に曲がっていくところだった。
智の帰り道とは道順が違う。
「ほら、急いで!」
和哉が小走りで駆け出すと、淳一と雅範も後に続いた。
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