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season #39
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3人が、角に隠れて智達を見ると、二人は楽しそうに笑っていた。
「なんだ、ちゃんといるじゃん。」
雅範が少し怒ったように言うと、和哉がシッと睨みつける。
先ほどより距離が縮まり、智達まで20mもない。
電灯の灯りが少ない道に入ったら、この距離でも見失ってしまうかもしれない。
智達はまっすぐ歩き続け、1軒の店に入った。
「ドラッグストア?」
淳一が不思議そうに首を傾げる。
「あ、まさか、イケナイ物買いに来たんじゃ……。」
雅範の言葉が終わる前に、思い切り和哉に叩かれる。
「余計なこと言うんじゃないよ。」
また和哉に睨まれ、雅範は大きな体を小さくする。
3人は相談して、和哉と淳一が店の中に入ることにした。
雅範は体が大きく見つかりやすい。
もし見つかっても和哉と淳一のようにごまかすこともできない。
雅範には入り口付近で、見張っていてもらうことにし、
和哉と淳一が、二人を追いかけて店内に入った。
この店は近所で一番大きなドラッグストアで、
ここにくれば一通りのものが揃う。
食料品も扱い、所狭しと物が置かれ、迷路のようになっている。
二人は店内に入ると、すぐに二手に分かれた。
二人が店に入った理由……。
相手の男の顔を確認すること。
チラッとでも見えれば、誰だかわかるかもしれない。
二手に分かれてすぐ、和哉が二人を見つけた。
仲良さそうに商品を手に取り、笑い合っている。
「シャンプー?」
相手の男が大きなボトルを手にして、智に何か聞いている。
和哉の場所からは相手の顔は見えず、
微笑んでうなずく智の柔らかい笑顔だけが目に入る。
結局二人は、ボトルを2つ手にして会計の方へ向かって行った。
和哉は携帯を取り出すと淳一にかける。
淳一は呼び出し音が鳴ることなく、すぐに出た。
「いた?」
「いた。シャンプー売り場。今レジで並んでる。これる?」
「すぐ行く。」
和哉は携帯をしまい、二人にバレないよう距離を保ちながら見張り続ける。
二人が会計を始めた頃、淳一が現れた。
「どこ?」
「今、レジのとこにいる。ほら。」
和哉が顎でレジを示すと、淳一も目を細めて二人を確認する。
「あ~、ここからじゃ、顔見えないね。」
「ん。見えるとこに行くと、向こうからも見えちゃう。」
淳一は和哉の肩を叩くと、腰をかがめながらレジの先へと向った。
シャンプー売り場の角を曲がってレジの向こうへ行こうとすると、
ふいに後ろから声をかけられた。
二人が振り返ると、そこには中学時代のサッカー部の先輩が驚いた様子で立っている。
淳一はタイミングの悪い先輩の出現に、渋い顔をする。
「久しぶりだな。元気にしてたか?」
「あ、はい。」
淳一は思わず直立不動になり、挨拶する。
「今、どこだっけ?」
先輩は嬉しそうに淳一の肩を叩く。
淳一がチラッと和哉に目配せすると、
和哉もうなずいて、二人の脇を通り抜けようとする。
先輩はそんな和哉の襟を掴んで引っ張った。
「お前、すっげぇモテてたやつだよな?なんてったっけ……名前……。」
「西沢です。」
和哉は返事をしながら、視線をレジから離さない。
智達は会計を済ませて行ってしまう……。
「ちゃんと目を見て答えろ!」
先輩に一喝されて、和哉はビクッと前を見る。
怖い顔で睨む先輩に困った顔を見せながら、和哉は智が気になって仕方ない。
「名前!」
「西沢です。」
和哉は智を気にしながらも、先輩の顔から目を離せない。
「顔を見て話す。これは礼儀だからな。だいたい……。」
和哉に説教を始めた先輩を見て、長くなると踏んだ淳一が声をあげる。
「先輩!すみません。急いでるんで!」
淳一が矢継ぎ早に一礼すると、和哉の腕を引っ張って走り出した。
和哉も先輩にペコッと頭を下げ、淳一に続く。
「おい!松田!西沢!」
後ろで先輩の怒鳴る声が聞こえる。
「あ~、あんな大声で。智達にバレちゃうよ。」
和哉は走りながら淳一に不満を言う。
「もう、バレたらバレただよ。見失うよりいいでしょう?」
二人は先回りしようと店の外へ出た。
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