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season #73
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入ってきたのは、還暦はとうに超えたであろう、恰幅のいいおじさんだった。
「あれ?先客がいるなんて珍しい。」
おじさんはニコニコしながら二人の方に近づいてくる。
「もうすぐ朝日が昇るんだよ。」
おじさんは二人の前で肩まで浸かると、東の空を指さした。
「あの山の裾の辺りから昇るから。」
おじさんは気持ちよさそうに、う~んと伸びをして二人をしげしげと見つめる。
「高校生?」
「は、はい。」
修が答える。
「夏休みだから、遊びに来たのかい?」
「はい。」
智がにっこり笑う。
「こっちのお兄さんはずいぶんベッピンさんだねぇ。」
おじさんは智の隣に腰掛け、智に向かってにっこり笑う。
その顔に、いやらしいものを感じた修は智の肩を抱き寄せる。
「はは。何?警戒してるの?」
おじさんは笑って、東の空を見上げる。
「いくらベッピンさんでも、男に興味ないから大丈夫。」
そう言いながら、おじさんはちょっと智に近づく。
ムッとした修は、自分の後ろに隠そうと智の両肩に手を掛け、促す。
すると、おじさんは智の腕を掴み、ニヤッと笑う。
「もうちょっと話しようよ。おじさんにも息子がいてね……。」
腕を掴まれ、困ったように笑う智を、修はおじさんから強引に引き離す。
「ぜひ、今度またゆっくり。俺達はそろそろ出ますので。」
修は智の手を引いて、湯船から立ち上がる。
おじさんはそんな修を見て、ガハハと笑う。
「連れション?カッコつけなくても、トイレに行きたいんならそう言えばいいのに。」
おじさんの視線は修の股間に向けられている。
ハッとして、智を見ると、智もなんだか恥ずかしそうに笑っている。
ヤバイ……まだ収まりきっていなかった……。
修は赤くなった顔を、智に見られないように隠すと、
智の手を引いて出入り口へと向かった。
ドアに手を掛けようとした時、ひとりでにドアが開く。
「わっ!びっくりした~!」
浴衣姿の雅範が、ドアから一歩退いて修を見ている。
「雅範!」
雅範は笑いながら、後ろに声を掛ける。
「ほら~、やっぱりここだった。絶対そうだと思ったんだよ。」
ドタドタと雅範の後ろから、いかにも寝起きの、
浴衣の肌蹴た淳一と和哉がやってきた。
「あ~、俺達、もう出るから。」
修は雅範の横を突破しようと、智の手を引き寄せる。
「え~、いいじゃん。みんなで入ろうよ。」
雅範が子供のように足をバタバタさせると、智はクスクス笑って修を見る。
「ほら、智はいいって言ってるよ。」
「言ってないじゃん。」
「顔が言ってるもんね?」
雅範が智に向かってそう言うと、智もにっこり笑ってうなずく。
「ほら~。」
勝ち誇ったように、腰に手を添え笑う雅範を見て、和哉が溜め息をつく。
「智も見つかったことだし、私、もう少し、寝てきますから。ふぁあ~。」
和哉は大きな欠伸をしながら、踵を返す。
「ええ~、いいじゃん。みんなで入ろう。旅の醍醐味はやっぱり風呂だよ!」
「でも、ジュン君なんて、立ったまま寝てますよ?」
「大丈夫、お風呂入っちゃえば目も覚めるから。」
うひゃひゃひゃと雅範が笑う。
「雅範だけ入ればいいじゃない。」
和哉は意識の朦朧としている淳一の背中に手を回し、帰ろうとする。
「じゃ、いいよ。智は入るよね~。」
「智も俺と一緒に出るから。」
修が智の手を引いて自分に寄せる。
智が裸なのに気づいて、自分の後ろにさっと隠す。
「いいじゃん、いいじゃん!みんなで入ろう!」
「うるさい!お前ら、今、何時だと思ってるんだ!」
いつの間にか後ろに来ていたおじさんが怒鳴る。
結局、5人とおじさんは、並んで日の出をおがむことになった。
「そう言えば、お前、トイレには行ったのか?」
おじさんが修に向かって、片眉をあげる。
「は、はい。」
修がバツが悪そうに3人を見ると、
3人は、ん?と首を傾げ、智はクスクス笑った。
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