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使イ魔ハ猫 7
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「…シロエ、奴の正体を探れ」
月人はシロエを見もせずに静かに命令を下した。
何にせよ、皇はただの人間ではない。
一言で月人の正体を見破ったのだから。
「ぎょいですー」
シロエは久々の使い魔らしい命令に軽く返して、
月人に並んで店の表に出た。
どこにでもあるような民家を改造した家を眼を細めて見上げる。
月人は店に入っていき、レジ台の方を見やった。
特にさっきと様子は変わらず、皇は本を広げている。
「…シロエ…?」
月人は小さな小さな声で、
店の外から様子を窺っているシロエを呼んだ。
シロエは黄色い瞳を見開いて、奥にいる皇を凝視して いる。
皇の正体でも探っているのだろうか。
「…ん?」
本を見ていた皇の目が、こちらに向けられた。
そして眼鏡の向こうの瞳は、店先のシロエを見付けた。
「あっ、こ、こいつ俺が飼ってる猫で!」
月人は聞かれても居ないのに慌てて言い訳をした。
しかしシロエと皇は何も言わずに互いに見つめあっている。
月人は妙な汗が背中を伝うのを感じた。
ヘマするなよシロエ。頼むから頼むからああ!
無言の空間には緊張感が漂う。
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