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アイツノ正体 1
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町を歩けば振り返る女子たち。
男でさえも振り返る始末。
そんな完璧高校生九家月人には秘密がある。
一つは喫煙者であること。
一つは古本屋兼たばこ屋の仮店主に秘密を知られたこと。
そしてもう一つは
知られた秘密が実は吸血鬼である、ということ。
「嗚呼…偉大なるドラキュラ伯爵様…
この罪深きバカな使い魔と
彼に裏切られた哀れな俺をお許しください…」
ゲージの中に入れられたシロエの前で天井に向かって呟く月人。
アパートなので天井は低く、
一階なので上に住む住民の足音が聞こえた。
「ご…ごしゅーさまあ…」
ゲージの隅でシロエが不安げな声を出した。
月人は静かに縮こまる真っ白な猫を見下ろした。
「気にする事はないよ、シロエ。
どんなに優れたものだって間違いくらいは犯すもの。」
穏やかな顔で微笑む月人。
シロエはびくびくと震えながら、
小さな声で猫らしく鳴いた。
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