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アイツノ正体 5
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日曜日、
昼下がりの曲がり角の古本屋兼たばこ屋。
店の奥のレジ台を机代わりに、皇は本の文字を追っている。
月人は向かいの建物の影に隠れながらその様子を伺っていた。
なんというか、
その物静かでやや憂いを帯びた雰囲気に、
あいつ黙ってれば結構美人...、と思いそうになり
慌ててその考えを打ち消した。
今しなくてはいけないことは、
あいつをいかに速やかに抹殺するかだ。
「こんにちは~」
店に綺麗な栗色の髪をした女性が入っていった。
白いワンピースと桜色のカーディガン。お客さんだろうか。
「...どうも」
皇は本から顔を上げて、微笑みを浮かべた。
月人は道を挟んで向かい側の建物に居るにも関わらず、
会話も本をめくる音さえもその場にいるかのように聞き取れてしまうのだ。
本当俺ってハイスペック、と改めて感動しながらも会話を盗み聞く。
「ねー聞いてよ!」
女性は皇の所へ向かうとそう喋り始めた。
お得意様なのだろうか。というか、いつの間に顧客を作ったんだろうか。
皇は彼女の話を相槌を打ちながら聞いている。
ああやって主婦の愚痴を聞いてやっているのか。
魔女のくせに人間の愚痴を聞くだなんておかしな奴である。
「だから私もうずっと口聞いてないのよー」
一向に帰る気配がなさそうで、月人はため息を零した。
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