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奇襲、ダイサクセン 3
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「なめやがって…」
月人の瞳は赤く染まり、
獣の瞳のように殺気を帯びていた。
しかし悟られぬように息を潜め細く開いた窓から部屋の中へと侵入を開始する。
カーテンを掻き分け、
月の光が入り込まないように素早く中に入る。
部屋の中は暗く静かだった。
無駄に大きなベッドと、小さなタンスがあるだけの質素な部屋だ。
本屋の店主である老婆が元々暮らしていた部屋なのだろう。
「...あいつは何処だ?」
月人は部屋のドアに張り付きすんすんと鼻を鳴らした。
夜はすべての身体能力が上がる。
眼もずっと良くなるし、鼻ももちろん効く。
今では皇の人ではない香りも嗅ぎ分けられる自信があった。
ドアをゆっくりと開けて顔だけを出した。
狭い廊下が待っていた。生き物の気配はない。
するすると足音も立てずに廊下に出る。
どこからか、甘い香りがする。
左手には階段があった。
おそらく店へと降りるものだろう。
その他に幾つか扉があったが、
一番奥の戸に迷いなく向かった。
今まで嗅いだこともないような良い香りだった。
腹が立ったがこれが"魔女"というやつなのだろう。
月人は扉の前で小さく息を吐き扉の窪みに指を這わせた。
横引きの扉は音もなく静かに開いていく。
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