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奇襲、ダイサクセン 7
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「くそ...俺を殺す気か..」
こんな屈辱は初めてだった。
人間達ももちろん、かつて同族達が数多く存在していた頃も月人は優れた吸血鬼で
誰にも、大人にも負けたことはなかった。
力も、美貌も頭脳も、魔法も。
皇は口を歪めて笑った。
「さあてどうしたものか。
この俺の寝込みを襲うとは許してはおけないが、
お前みたいな愉快な虫ケラは初めてだからなぁ」
絡められた指をゆっくりと解かれ、
月人の腕はだらりとソファから落ちた。
身体に力が入らない。だがそれは魔法ではない。
威圧感で動けないのだ。
月人はやがて口も利けなくなり、ただただ呆然と相手を見上げていた。
やがて皇の顔は離れ何かを考えているような真面目な顔つきになる。
「まあ簡単には殺さねえよ
さゆりさんも気に入っていたことだし」
皇は勝手に自己完結をし頷きながら月人の頬に触れた。
その瞬間ざわりと嫌な予感が身体を駆け巡る。
叫びたかったが身体が動かない。
その隙に皇の指が額に滑った。
「汝、我の兆す光に成りや」
透き通る声が部屋に響いた。
吸血鬼のDNAがどういうものなのかは分からないが、
遺伝子が告げる。
彼は魔女で、
確実に自分が勝てるような存在ではないことを。
額に触れた指先から光が溢れ始める。
やがてその光は大きくなり、月人は思わず目を閉じた。
何か叫んだかもしれなかったが、
溢れる光の中意識を手放していた。
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