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早ク閉店シタ日 4
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「丁寧に手当までして、彼女は俺が怪しい生き物だなんて微塵も思っていないようだった。
ぶっちゃけ誰かに優しくされたのなんて初めてで、
俺は魔界に戻ってからも忘れられなかった。
やっと学校を卒業し、人間界と行き来できるような立場になってきてみれば..
魔界とは時間の流れが違うからな」
魔界の方が時間の流れが遅いのであろう。
亭主と死に別れ、子供や孫達も遠くへ巣立って行き
それでもこの店があるからと一人座っていた老婆の姿が思い浮かんだ。
本当は寂しかったのかもしれない。
その寂しさと戦いながら、
受け継いだこの店を守り続けていたのだろう。
「俺は..さゆりさんには幸せに過ごして欲しいんだ。
人間の時間は短いから。
そのためには俺はなんだってする」
皇の覚悟は相当なものに違いなかった。
さゆりに救われる前、
彼がどれだけ荒んでいたのかはわからないが
魔界という世界は
一体彼にとってどんな場所だったと言うのだろう。
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