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魔界ヨリノ使者 9
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「悪いな、アインチェ」
水平に真っ直ぐ伸びた掌をくるりとひっくり返すと
風が吹き始める。
くるくる、くるくると空気がかき混ぜられるように吹く風に魔女達は悲鳴をあげた。
しかし月人にはとても柔らかくて暖かくて、
なぜだか心地いい気さえしたのだ。
くるくる、くるくると、
やがて魔女達の体は空気の渦に飲まれ
キラキラした光の中に溶けて消えてしまったのだった。
風はゆっくりとやみ、店の中はしんと静まりかえる。
さっきまでのドタバタ騒ぎが嘘のようだった。
月人は呆然と皇を見上げた。
魔女の横顔はどこか寂しげで、悲しげで。
それでもホッとしたように穏やかであった。
「....あの人達...消えた、のか..?」
恐々話しかけると皇はこちらを見下ろし苦笑した。
「魔界に送り返しただけ。
うまくいけば俺のことも忘れてくれてるかもなー」
その言葉を聞き、彼が殺しをしてないとわかると心底安堵して月人はようやく立ち上がった。
強大な魔力達も今は薄らいでだいぶ活動がしやすくなった。
魔女とは本当に恐ろしい奴らである。
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