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眠レル魔女 5
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月人は夢の中で空中に浮いて、
たくさんの真っ黒な服を着た連中の中で神妙な顔をしている魔女の姿を見守っていた。
祭り上げられ、崇拝され
、あるいは誰かの欲望のまま操作され、
羨望と嫉妬の醜い感情が魔物となって
今にも彼の細い喉元に食い付かんとしている。
魔女は薄っぺらい微笑みを退屈そうに浮かべて、
今にも崩れてしまいそうな足元を綱渡りのように進んでいた。
「彼は選ばれたものだ」
「彼には権利があり義務がある」
「力のあるものは力なきものに尽力しなくてはならないね」
様々な声の隙間に物を言いたげに口を開きかけたが
魔女はやがて口を閉じ黙って下を向いた。
「ここには愛とか、そんなものはないらしい」
「そもそも愛が何かわかんないし」
「そんなものは絵本の中だけの話でどこにもないんじゃないの」
魔女は諦めたように呟き、
居心地が悪そうに肩を竦めた。
場面が変わる。
森の中で女学生が謎の奇妙な生物に駆け寄る所だった。
「怪我をしている!可哀想に」
生物はお世辞にも美しいとは言えない姿で
奇妙な色の瞳で女学生を捉えていた。
なんなんだ、この女は。
そんな表情であったのだが女学生は
鞄から綺麗なハンカチを取り出し生物を手当てし始める。
「大丈夫よ、きっと私が助けてあげるからね」
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