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眠レル魔女 6
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それから女学生は日が暮れるまで手当てをし、
奇妙な生物をマフラーに包んで家に連れ帰り
家の者に帰りが遅いと怒鳴られたりしていた。
奇妙な生物は布の隙間から、
不思議そうに瞬きをして彼女を見ていた。
どう考えたって不利益なのに、何故助ける.....?
マフラーもハンカチも汚れて、挙句怒鳴られて、
その見返りは、何も、ないのに。
やがて傷が癒え、元の姿に戻った魔女は彼女に問うた。
「なぜ俺を助けた?」
「困っていたから、放っておけなかったからに決まってるじゃない」
「...俺は何の利益もお前にもたらす事は出来ない」
「そんなのいいのよ、元気になってくれたのなら」
「........何故?」
「何故って、元気になって欲しいから助けたのよ」
「元気...?それだけのために..?」
「それだけって..元気なのは大事な事なのよ!」
魔女には彼女の言っていることの意味がわからなかったが、
ただ、胸のあたりがじんわりと暖かく、
何故か泣いてしまいそうになったのだ。
光の中で微笑む彼女の顔がずっとずっと頭の片隅に残っていて、
その暖かさは魔界の冷たい空気の中ではより強く輝くのだった。
何度も、
何度も何度も思い出しては考えるのだけれど
彼女の言葉の意味がわからない。
それでも何度も何度も、
胸の中が何かの温度で満たされて、
泣いてしまうのだった。
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