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家内捜索 5
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「心配かけたな」
皇はそう言って、
また酷く愛おしそうな目をして月人の頭を撫でてくる。
犬か子どもにでも向けられているようなその慈愛の眼差しが妙に心地良いような気恥ずかしくて辞めてほしいような
変な気分にそわそわしてしまう。
何か言い返したかったが皇は、
ガラスや本が散乱した店へと降りて行ってしまった。
魔女集団が襲ってきたままの状態の店内は
とても営業ができるような状態ではなかった。
ビニールのサンダルをかぱかぱ言わせながら皇は店の入り口へと歩いていき締め切られたカーテンをそっと開けた。
夕暮れ時のオレンジ色が一筋差し込んで、
立ち尽くす月人の足元に細く伸びる。
「......ずっとここにいるのか?」
ぽつりと溢れた言葉に、皇は振り返って首を傾けた。
バカだな、とでもいうように片目を細めて、
魔女はゆっくりと腕を伸ばし指先で空中をなぞった。
ふわりと暖かい風が吹き始め、
皇は演奏の指揮でもするように両手で空中をなぞり続ける。
散らばっていたガラスや本がふわふわと風に乗って元の場所へと戻り始め
月人は何も言えずにその光景に魅入っていた。
彼を取り巻く空気が、
全て何事もなかったかのようにもと通りにしていく。
ガラスの破片がオレンジ色にキラキラ光って、
その向こうの魔女がとても美しく見えた。
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