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遅すぎる告白
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ーーーーチッチッチ
時計の音がする。
軽く、細くなる秒針の音。
小刻みな機械音は、速く波打っている俺の心臓とだんだんと重なっていった。。ずれている。
ここはどこだ。目を少し開く。潤む。霞んでいる。世界が、歪む。
まだ深いまどろみの中だが、何か長い夢を見ていたような気がした。そしてとても疲れる夢。まるで何か大切なものを失ってしまったような、喪失感が残った。
そろそろ起きなければいけない。頭がぼーっとする。
顔が熱い。体が熱い。
「........ん、ここは...」
目をこすりながらあたりを見回す。
そこは見覚えのない部屋だった。十畳ほどの寝室のようで、洋風な部屋である。アンティークっぽい家具だし、なんだかとてもおしゃれだ。
その部屋の窓際、そこにはキングサイズのベッドがポツリと佇む。俺はまさにその中のシーツにくるまり、寝ていたようだった。
それよりも体が熱くて仕方がなかった。
目が霞み前が見えにくいのもこの熱のせいだ。なぜ俺の体はこれほどに発熱しているのか。そしてここはいったいどこなのか。
考えることが山積みなのに対して、俺の体はそのだるさから全くもって動けずにいた。
ーーーーガチャ
ドアが開く無機質な音がした。
億劫ながらもそちらの方に目をやると、ひどく綺麗な顔をした青年が心配そうにこっちを見ていた。
し...梓月...。
「...気分はどう?」
綺麗な青年の綺麗な声。
俺に近ずいた青年は右手を俺の額に乗せた。あぁ、冷たい気持ちがいい。少し前にもこんなことがあった気がする。
ーーーーチュ
そこで梓月が俺の額のキズに優しいキスを落とした。
そうだ、俺、梓月の家で飯食って、それで......。
梓月に......。
なんとも言えない気持ちだった。多分熱があったんだろう。照れて顔が熱くなっていると思っていたが、体調が思わしくなかったようだ。そうしてアレで悪化したんだーー。
「熱、引くまでちゃんと寝てるんだよ?」
「......誰のせーだと。」
「半分は僕のせいだ。ごめんね?看病するから、許して?」
全くもってあざとい微笑みを落としたあいつに呆れ笑う。
あの時、
梓月にキスをされて瞬間、今まで守ってきたものが崩れ去って気がしていた。昔の思い出、友達だった梓月。
そもそもなぜ男の俺なんかにキスを。
「なぁ。」
「なに?」
全く部屋から出る様子がなく、ベッドの隣に腰掛ける梓月に声をかけた。気になる、本当にこれはスルーできない問題だ。
「お前って、......ホモなの...?」
「....ぷっ....ははぁはは!」
真剣に聞いたつもりなのに、何かバカにでもされた気分だ...。
「直球だなぁ...。うぅんと、そういうわけではないんだと思うよ。」
「でも!俺に...きっ!...きすしたじゃん...。」
さっきの情事がフラッシュバックして急に恥ずかしくなる。
だって、
ホモじゃないのに男に好きとか、可愛いとかキスとかありえねえだろ。
「彼女もいたことあるし、他の男には全然興味ないしなー。...俺が好きなのは惠だけ。」
「ぉ...俺は男だ!!」
「知ってるよ。でもどの女の子と付き合ってもダメだった」
すごく切なそうに目を合わせられる。綺麗な瞳が、少し潤みを帯びて、俺だけ見ている。この世界でたった1人、俺だけがその瞳には写っていたのだ。
「それってホモっていうのかな?」
「......知らん。」
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