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二度目の恐怖
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「...ぉ...おい...」
1人でブツブツと何かつぶやいている梓月に不気味さを感じ、声をかけるが返答はない。
しかしフローリングの上に片肘をついて転がる俺を、淀みのない目で見下ろしていた。
とりあえず、ここにいてはいけない。
何とかしてこの状況から抜け出そうと、床を這い扉の前まで移動するがそれは誰かの手によって封じられた。
誰かといっても梓月しかいないわけだが。
俺の右手首部分を掴んで離さない手はギリギリと力を増しているように思えた。
「...惠。僕から逃げるの?どうやって?」
どうやってって、どうにかしないと俺がやばいことになるんだろ。
それにしても俺は何かしただろうか。友達と喋っているところを見られて、このザマだ。
俺に人権は無いのか?
「...つか...なんでお前そんなに怒ってんだよ。」
ただ単の嫉妬というならばそれは明らかにいきすぎたものだ。俺の抱いているのは恋心ではなく執着に似た何かなのではないだろうか。
「惠が僕のことを受け入れない。それなのに他の奴とはあんなに楽しそうにしてる...苦しくってたまらない。」
梓月は何かに言い聞かせるようにゆっくりと語った。
「どうしていいかわからない」とその胸の内を伝えた。彼は苦しんでいる。俺に向ける執着によって己自身を傷つけ、苛まれていた。
俺だってそんなお前にどうしてやればいいかわからない。
「でも」
ふと梓月の険しい表情が緩んだ。
「もういいんだ...。わかったから、多少無理矢理にでも体を手に入れれば、振り向いてくれるんでしょう?」
そしてとても斜め上に、解釈を進めていた。
俺は奴に握られた右手を何が何でも引き離そうと暴れてみたがビクともせず、そのまま奥へと引きずられていく。
「まっ...待て!...っはなせ!!」
おいおいおいおいおい。
恐れていた事態がMAXスピードで進行中なんだが、そして梓月の力が強すぎる。敵いもしない。
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