アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2-夏目編
-
いつもの朝だった。
朝8時20分の電車に乗って10分、10分歩いて学校へ。
靴箱を開けて、2年3組の教室へ向かう。
クラスのドアは大抵いつも空いている。
入るとまず麗華がおはようのキスをしてくる。
宏行自身嫌な訳ではなかったが、特別好きな訳でもなかった。
ただ胸が大きくて抱き心地がいいから付き合ってるだけであった。
今日も麗華が飛んでくる。
そう思ってあらかじめ歩くスピードを落としたが、今日は違った。
麗華は圭吾の隣んでなにやらニヤニヤしていた。
視線の先は顔の向きからして宏行の席の方を向いているらしい。
俺の席に何かサプライズでもしたのか?
そっと圭吾と麗華に近づく。
脅かしてやろうと忍び足で。
しかし宏行の企みは圭吾によって直ぐに破られる。
「お、宏行じゃん!はよっ!」
チッ
思わず舌打ちが出た。
圭吾は宏行の気配を感じ取る能力に長けていた。
その無意味といっても過言でない能力に嫉妬した麗華がつい先日、圭吾に宏行の気配の感じ方を教えてくれと本気で願い出ているところをたまたま目撃した宏行。
不覚にもかわいいと思ったことを宏行は覚えていた。
「お前らなにしてんの。」
「いや、昨日小野寺が麗華さんのピアス踏んだっしょ?それの仕返し。」
ニタニタと笑う圭吾の顔はたまに宏行をいらだたせる。
「ほんっとに最悪!!死ねばいいのに!」
隣で麗華が吼える。
そんなことで?
宏行はそっと郁也の方を見た。
異様に開けた空間に棒立ちになっている。
小野寺郁也。
パッとしない、地味な陰気キャラ。
前髪が長い眼鏡野郎。
宏行の中の小野寺郁也はこんなものだった。
ふぅん、あいつがねぇ。
まぁ、最近面白いこともなかったし、暇つぶしくらいにはなるか。
いじめる理由なんてなんでもいいのだ。
人を見下し、相手は自分よりも劣っているという優越感に浸ること。
これがいじめる側が得る利益。
宏行はこれが自己満足であることは自覚していたがやめられなかった。
気持ちがいいのだ。まるで自慰の最中のような気持ちよさがある。
自分が相手を支配しているという独占欲のようなものもある。
何にしろそれはおいしい蜜であり、ドラッグのようにやめられない。
あいつ友達いなさそうだし、教師に特別気に入られてるわけでもないしな。
適当に理由をつけてこれからのいじめの標的を小野寺郁也に決めた。
そしてチャイムが鳴った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 23