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朝、兄の香りがして目が覚めた。
「にぃちゃ…。」
まだ眠たい目を擦りながらその香りの主を手探りで探す。
昨夜兄に抱かれるようにして眠ったため手探りをして探している時点で郁也は、この香りが兄の残り香であることを悟った。
いないよな、そりゃ。
軽くショックを受けながら兄を探していた手で次は携帯を探る。
らしき物に指先が触れ、ホームボタンを押して時刻を確認する。
6時15分。
兄はとっくに出てしまっている。
学校の用意にさほど時間のかからない郁也にとってこの時刻は早すぎた。
もう一回寝ようかな…。
そう思った瞬間、昨日の出来事が一気に押し寄せてき、郁也の小さな心臓がビクンと跳ねた。
ドクドクと心臓が波を打っている。
急に怖くなった。
冷たいクラスメイトの視線。
誰も助けてくれない、一人ぼっちの…
行きたくない…
郁也の脳内は起床早々もんもんとした霧に覆われた。
今日くらい休んでしまおう。
今日くらい、、どうしても、行きたくない…行きたくない行きたくない行きたくない
そう思った時、宏行の声がした。
「明日、ちゃんと来いよ。」
直ぐ耳元で声がした。
そう錯覚するくらいに鮮明に聞こえた。
もし今日休んだら、明日からどうなるんだろう。
今日を休んでしまえばもう二度と、学校に行けなくなりそうで、半分やけくそになって布団から飛び出し、自室に向かい制服に手をかけた。
時刻はすでに7時15分だった。
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