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其の四
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噂には聞いていましたが、やはり生涯一人きりというのはなかなか辛いものです。
鷹仁様のお母様であるΩは女性でいらっしゃいました。
先の当主、興龍(こうりゅう)様の最初で最後の奥方様で、鷹仁様をお産みになった後は、ひっそりとお一人で暮らす予定で、出産の3日後には本邸を出て割り当てられた屋敷に向かい、その道中、服毒自殺をしたと言います。
興龍様と奥方様は、運命の番で相思相愛でございましたが、家の力には敵わず引き離され、新しい妻を娶る姿を見聞きするのはあまりにも辛いと、自らその道を絶ったのでした。
その報せを受けた興龍様は、その後、偉大な功績を残すことと引き換えに、二度と妻を娶ることはございませんでした。
このお話は、たった一度、嵐の夜に眠れない僕が無礼にも鷹仁様の御寝室にお邪魔した際、話してくださったのです。
『俺は、そんなことはしない。絶対だ』
あの時鷹仁様は、最後にそう仰いました。
つまり、興龍様とは違い、新しく奥方をお迎えになるということでしょう。
嗚呼、どんな素晴らしいαの女性でしょうか。卑しいΩで、男である僕と違って。
息子は…名も知らぬ息子は、どんなΩを与えられたのでしょう。もう話せる頃でしょうか。鷹仁様に似て、根は優しく育ってほしいものです。
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