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其の什二
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「ましろ、はやく!」
「朱雀さま、いけません!そちらはまだ行ってはならないと…!」
「しっ!しずかに!ちょっとだけだから!こっちなんだ!ここに…!」
本人たちは囁いているつもりなのでしょうが、囁き声はよく通るのですよね。
こんなところで聞こえるはずのない、子どもの声が聞こえました。
この家に、子どもは二人だけ。
僕の…鷹仁様の息子と、そのΩ。
ということは、きっと。
「すざく…朱雀様と仰るのですね」
鷹仁様の御子に相応しい、凛々しいお名前ですね。
そこで済ませておけばよかったものを、僕は、浅ましくもそのお姿をこの目に見たいと、その声の方に進んでしまいました。
「…っ、ああ…」
鷹仁様に似た、幼いながらに整ったお顔立ち、悪戯好きそうな笑み、ああ、なんて…
「鷹仁様に、良く似ていらっしゃいますね…っ」
そして、そのお隣にいる、おそらく当代であろう、朱雀様より少し大きい真白という子は、その名の通り真っ白な肌で、きっと将来美しくなるでしょう。
でも。
「ああ、可哀想に…」
きっと、朱雀様を恋い慕っているとわかる眼差し。
駄目なのに。
きっと、こんなふうに胸の張り裂ける想いを生涯持つことになってしまう。
「可哀想に……、どうにか、してあげられないでしょうか…」
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