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其の什三
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しばらくして、真白が朱雀様の手を引いて母屋に帰って行ってからも、その背を目に焼き付けて、侍女が上掛けを持ってきてからも、その場から離れられなかった僕は、真白や僕のようなΩはどうしたらいいのでしょうと手紙を書いたあと、その夜は熱を出して寝込んでしまいました。
ああ、ふわふわする。
うなじの噛み跡が熱い。
こんな感覚は久しいですねえ。
そういえば昔はよく熱を出して、鷹仁様を心配させたものでした。
会いたい。
それが駄目なら、一言伝えたい。
「…たか、ひとさ、ま…ぁ……」
荒い息、絶え絶えなくせに今にも泣きそうな寝言に、葵の額の濡れタオルを替えていた手が、ピタ、と止まる。
「たかひとさま…っ、は、鷹仁さま、お…したい、して、おります…」
お慕い申し上げております、鷹仁様…
意識がなくなるその瞬間、葵は懐かしい、大きな手の感触を額に感じた気がした…。
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