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其の什五
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振り向いた影に、飛び込んだ。
「…葵……」
「鷹仁様、鷹仁様、鷹仁様っ、、」
「葵…」
幾年ぶりに縋り付いた愛しい方は、愛しい黒方の香りは、背中に回された愛しい腕は、ずっとずっと欲しかった温もりをくれました。
でも、その時間も長くはなく。
「貴様ら…何をしている」
冷たい声に、体を震わせ顔を上げれば、鷹仁の目はこちらではなく、もっと先…離れの方を向いていて。
「誠に、申し訳ございません…!!さ、先代様…戻りましょう。御御足が…」
「……いや…」
土下座しそうな勢いで頭を下げ、葵に戻ることを勧めた侍女や見張りに、それでも葵は鷹仁に縋る。
「いやです、鷹仁さま…」
「葵」
「っ、せっかく、お会いできたのに…」
「葵、」
「もう、お会いできないのですか…?」
「葵…」
「いやです…鷹仁様、鷹仁さま…」
いつもは、こんなに聞き分けの悪い葵ではないのに。
いつまでも縋り付く葵に焦れたのか、鷹仁が葵の足に手を回した。
「葵、持ち上げるぞ」
「っ、、、!!」
縋り付く葵を、いとも簡単に抱き抱え離れに向かう鷹仁。
いやだいやだと啜り泣く葵を無視して、使用人の中を、進む。
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