アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
青もみじの君-肆
-
数日後。
僕は自室で、僕によく似た、僕よりも背の高い男性と対面していました。
「お久しぶりにございます。兄様」
「葵様、お久しぶりです。葵様、---私は…当主の奥方であらせられる貴方様に兄と呼ばれるような、そんな身分ではありませんよ」
「ふふ、では、青もみじの君と?」
「それは……面と向かって言われると、随分恥ずかしいですね」
この方こそ、鷹仁様の秘書で、幼い頃の僕の兄代わり。
先日のお手紙へのお返事で、もし貴方が兄様であるのなら、是非お会いしたいとお願いをしたのです。
実は、兄様とはいえ勝手に男性にお会いしたいとお願いをしてしまったので、鷹仁様によって、お仕置きと称されてその日は濃い一夜を過ごすことになってしまいました。
ですが、お仕置きとは言っても、鷹仁様から深く愛されたその夜はそれは幸せでありましたし、兄様とも再会することができて、実は僕にはいいことづくめなのですが…。
そう言ってしまうと僕の1日がお布団の中で全く動けず終わってしまうことが目に見えているので、鷹仁様には内緒です。
……と、そんな僕のことはどうでもよいのです。
目の前で困ったように微笑んでいる兄様に視線を戻すと、まるで鏡を見ているかのような錯覚に陥ります。
本当に、本当に血が繋がっていないのかと疑ってしまうほどに、僕たちはよく似ているのです。
「いくつになっても、身分がどうなっても、僕にとって、兄様は兄様です」
先程の兄様の言葉への答えとしてそう笑いかければ、兄様は、そのかんばせを泣きそうに歪めて僕を見つめ返してきました。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
26 / 47