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第5話
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その後お互い一言も喋らずに帰路を無言で歩き続け、家へつくと大雅はガチャンッ!と乱暴に鍵を閉めた。
そしてそのまま台所へ行くとライターを持ってきて、ポケットからタバコをだし、火をつけると、それをゆっくりと吹かしながらソファに腰をかけた。
その様子を真尋はただ黙って見ていたがまだ怒っているのは雰囲気でヒシヒシと伝わってくるし、きっとこのまま何事もなく靴を脱ぎ部屋へ入れば、殴られるどころじゃなくなるだろう。
とりあえず今は大雅が喋るまで動かない方がいい。
「…なぁ、あいつなんていうの?」
ふーっと息を吐きながら怒っているような、呆れているような、そんな顔で尋ねてきた。
「…なんで?」
「あ?」
「別にアイツはほんとにただの友達だし、さっきも言ったけど、俺は大雅しか好きじゃないか…」
ガシャンッッ!
まるで俺の言葉を遮るかのようにソファの近くにあった机が大きな音をたて勢いよく吹き飛んだ。
「お前、さっきからそればっかだな。なんでアイツを庇ってんの?」
「…だっから…!!なんで聞かねぇんだよ!!俺はお前のことしか好きじゃないって…!何回も何回も言ってんだろうが…!!なんで信じねぇんだよ!!」
いつまでも耳を傾けない大雅に思わず大声で怒鳴ってしまった。
シーン…と張り詰めた冷たい空気が流れる。
しまった、いい過ぎた。
そう気づいた頃にはもう遅かった。
近くにあった灰皿で俺の頭はすでに数回殴られていて後ろから頭を床に押さえつけられていた。
頭から顔に血がポタポタと流れ出し、身体がガタガタと震え出す。
「信じられなくなるようなことしてるのはお前だろうが!!俺がいんのに、お前は他のやつとも仲良くして…!今日だって襲われかけてたんだろ?!なんでそれで庇ってんだよ!」
凄まじい剣幕で怒鳴りつける大雅の顔が少し泣きそうな顔をしているように見えるのは目の前が眩みかけているからだろうか。
「…なんでわかってくんねぇの…。俺がお前にどれだけの跡を残せばお前はわかってくれんだよ…」
わかってるよわかってる。本当は。
だから待って、少し…時間を…
「…俺もお前も…」
頭上でぼそっと呟くと大雅は手に持っていたタバコを真尋の手の甲に近づけた。
「もうだめなんだな…」
ジュッ…
今なんて言った?もうなにいってるかわかんない、今度こそだめだ。意識が遠のく。
自分の目の前に誰がいるのか、自分に何が起きたのかさえ、もうわからない。
大雅…。
朦朧とする意識の中、そのまま目を閉じた。
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