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第40話記念ストーリー 後編
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「シマ…これでケガすんの何回目?」
「っててて…ごめんな〜、その度手当てしてもらっちゃって」
プックリと腫れ上がったシマのほっぺたに優しく湿布を貼ると、シマは「冷て〜!」と身を震わせた。
入社して3ヵ月。
シマとは俺の凄まじいコミュ力の高さと同期という立場により、すぐに仲良くなった。
ポジションとしては「親友」といったところだろう。
予定ではその「親友」というポジションを脱し、今頃俺はシマと付き合っているはずだった。
が。
シマはあの凶暴な彼女と別れるどころか、その彼女と、昨日1年記念日を迎え、理由はわからないが、シマは彼女を怒らせてしまい、いつもの如く、顔を腫れさせ店に出勤してきたのだ。
長坂店長も接客業をするうえで流石に顔の腫れた従業員を店に出させるわけにはいかないと、シマの顔が腫れる度に、俺に治療を任せている。
本当、なんで別れないんだろ。
俺だったら絶対、毎回毎回顔面殴ってくるようなゴリラ系の女の子とは別れるけどなー。
『どうしてシマはそんな子と付き合ってるの?』
以前、1回だけそう言いかけた時、シマは困った顔で、あからさまな苦笑いを浮かべた。
それ以来、俺はその質問をタブーとし、あまり詮索するのはやめた。
いや、でもそれにしてもだ。
殴られる頻度が高すぎるし、傷が癒えかけたと思えば、新たな傷が増えるという悪循環が生まれている。
「…シマはさ」
大丈夫、段階を踏んでオブラートに包んで聞けばいい。
落ちつけ、俺の得意分野だろ。
「彼女のこと好きなんだね」
うん、これがベストだよね。
「なんでその子が好きなの」とか「なんでそこまでしてその子にこだわるの」とかって、結構ダイレクトにクるし、理由なんてなくても気づいたらそうなってるとかあるし。
まぁ、俺はそんな経験1度だってないけど。
って、おいおい。
どうして泣いてるんだシマさんよ。
なかなか返事が返ってこないので、シマの顔を見てみるとシマはその可愛らしい瞳から大粒の涙をこぼしていた。
「うう…うっ…ようじろぉっ…」
え、なにこの展開。
めっちゃ俺得。
「どうしたの?」
「俺…最低なんだっ…ほんとは…俺っ…」
「ゆっくり話せよ、聞くから」
ポンポンと頭を撫でるとシマは飛び込むようにして俺の胸に抱きついてきた。
あー、犯したい。
何でこいつこんな可愛いんだろ。
「俺…家出してきてて…ほんとに金なくて東京で一人暮らしとか絶対無理なんだほんとは…。でも、どうしても美容師になりたくて無理ってわかってたけど無理やり東京にでて…行く当てなくてどうしよってなって馬鹿みたいに飲んでグデングデンになってるとき今の彼女に出会って、それで…」
待った。
この流れさ、もしかしなくても…
「ホテルで…一夜を…」
「うぉぉぉぉぉおおおおおああああああ」
マジかマジかマジかあああああ!
シマが掘っ…俺のシマが掘る側…っ!
いや、まぁ相手女の子…だしっ、な…!?
…でもよく考えてみろ。
それはそれでよくないか?
今までヤッてきた奴らには、かなりの名器だと称賛されてきたこの俺がシマの上に乗ってシマが必死に腰を振っている姿を眺める…と。
いいね、俺がネコでもいいじゃん。
いきなり出した俺の大声でビクっと肩を震わせたシマに「あー、ごめん続けて」とにっこりした笑顔を向けるとシマは「…うん」と再び顔を俯け口を開いた。
「そん時、俺…全部彼女にぶちまけちゃったらしくて…、そしたら彼女が「じゃあ、アンタを養ってあげる」って言ってくれて、付き合うことになったんだ…」
「へー…」
俺がそん時シマのそばにいたらよかったのになー。
そしなら今頃こうやってシマが泣くこともなかったのに。
なーんて泣き顔見て興奮しといて思うことじゃないけど。
「でもほんと3、4か月前かな…彼女の友達が遊びに来てた時、どういう関係って聞かれたから、俺、「養ってもらってる」って言っちゃって…そっから、彼女怒っちゃって「出てけ!」って毎日毎日言うようになったんだ…少し口答えすると手が飛んでくる…」
「そうなんだ…」
それは…シマが悪いな。
きっと彼女はシマに「付き合ってるんだ」って言って欲しかったんだろう。
だけど「養ってもらってる」っていうまさかのヒモ宣言がシマの口から飛び出したもんだから彼女はシマに愛想つかしてしまった。
でも、金のないシマを突き放すのも…よって決定的な「別れよう」などはいわない…的な感じか。
まー、でもきっとそれは…
「シマは彼女の事、利用してる感があるから自分のこと、最低って思うんだろ?」
シマは返事の代わりに首を縦に振りさらにポタポタと涙を流した。
「そもそも…俺、彼女のことあんまり知らなかったし…付き合ったのもいきなりで…優しくていい人だっていうのはわかってるし好き…だけど…俺…彼女がいないと…まだ暮らしてけないし…結局好きって気持ちより別れたら困るって気持ちの方が大きくて…」
ヒックヒックと嗚咽を零していたシマはうわぁあんと顔を埋めた。
やっぱ前言撤回。
俺がタチだわ。
遠くてもいい。
絶対振り向かせてやる。
いつになるかわからないけど。
「大丈夫だよ、俺でよかったらまた話聞くからさ」
その時はたーっぷり抱いてやるからね。
覚悟しときなよ。
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