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2.渡良瀬塾5
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「お前の平熱なんて訊いてねーよ! あー、心配して損した」
俺も無意味に恥ずかしくなって、渡良瀬から手を離した。
「心配してくださったんですか?! 安藤さんが、僕を……」
「そんなんじゃ……」
そう言いかけて、気づいてしまった。さっき俺は言ったじゃないか。心配して損した、って。
いや、それは状況から反射的に出た言葉であって、俺の本心ではない。それを渡良瀬が都合の良いように解釈しやがったってだけだ。
「あ、僕が授業中に寝たりするからご心配おかけしたんですよね……。すみません、ただの寝不足です。でも、安藤さんに声をかけていただいて、元気が出ました」
ありがとうございます、と微笑む渡良瀬を真っ直ぐ見ていられなくて、目をそらした。
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