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こっちを見てはくれないか。2
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「ふぇっ!? おっおはよ………?」
挨拶してみたら何故か倉田びっくりといった表情で
たどたどしく挨拶を返した。
後ろから急にだもんな。
……見つめてくる顔が可愛い……とか……
あぶない。
口にしそうだった。
自慢じゃないが表情筋は硬いほうだと思う。
よほどのことがない限り顔には出にくい性格だ。
3日前の放課後
映画に誘っていたから明日のことで
倉田は笑っているのだろう。
俺としてはなんとも複雑だ。
いつか俺とも行ってくれないかなとか
今度誘ってみようとか、
なんとなく考えていたら
「城田くんもこのまま一緒に学校行く?」
まさかのご本人からの承諾がもらえた。
行くに決まってる。
倉田と上野の間に入って学校まで歩いてやった。
けど、
上野と笹本(倉田にきいた)の親密そうな
やり取りを見て明らかに先程より元気がなくなっている。
あーこれ確信だな。
倉田が上野を
上野が笹本を
笹本が………
ここはよくわからんな。
ただ確かに上野と笹本が相当仲が良いってことは
わかる。
倉田、土曜日があるんだ。
元気を出せ。
なんて言えないが。
覗いていたことがばれるし、
倉田としては上野への気持ちが他人にばれることは望んでいないだろう。
風が吹いて倉田のふわふわとした黒い髪が揺れる。
柔軟剤の爽やかな香りが頬をかすめる。
先程より元気をなくしておとなしくなった倉田を
横目でそっと盗み見る。
…………
睫毛ながい。
肌白い。
首細い。
抱き締めたら折れてしまいそうだ。
そんなことばかり考えてしまう。
あー。これダメだ。
俺、
完璧にこれ、好きってやつだ。
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世間ではこれを一目惚れとか言うらしい。
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