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いつまでも。 15
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目が覚めると外は暗くて、
夢から覚めてしまったのだと気づかされる。
もう少し、見ていたかった。
あんなに傷つけておいて、
もう気持ちなんて言えるわけない。
ふと、ベット横の机にスポーツドリンクが置いてあるのが目にはいる。
あれ?俺、こんなの置いてたっけ?
そこに、明日から三日間ある文化祭の、俺のクラスのスケジュール…………と、
『蒼へ
天野くんに頼まれたのでお見舞いに来たよ。
皆がしんぱいしてたよ。
はやく良くなってね。
通くんも風邪引いてるみたいだったけど
部屋に入れなかったから、台所に作ってある
おかゆ持っていってあげてね。
薬も置いておくね。ちゃんとおかゆ食べて
薬も飲むこと。通くんにも渡しておいてね。
勝手に部屋に入ってごめんなさい。
鍵、ポストに入れておくね。
じゃあまた、学校で。
秋』
秋の字だ。
秋が、お見舞いに来た?
じゃああれは、現実?
やけにリアルに感触が残っている。
夢じゃない?
俺は、本当に……………
「はっ…………
俺、まじで最低じゃん………」
自覚した瞬間、これかよ。
ろくなことしてねーな。
秋はどう思っただろうか。
「もう俺のこと、好きじゃねーよな。」
当たり前だ。
もし俺だったら完全に嫌ってる。
それでも頭から離れないのは、
キスしたときの秋の顔で。
あんな顔を、これからは俺以外の前でするんだなと
思うと、どうしようもない消失感にかられる。
「今更、だよな。」
秋に、告げてしまった。
さらに、キスまでして。
「………明日、文化祭か……」
秋は手紙に、また学校でと書いている。
「………会いたいなぁ……」
でもきっとあんなことをしておいて
平気で会えるはずがない。
熱、下がってるもんな……。
実行委員だし。
「………とりあえず通の様子見にいくか……」
秋の手紙は通のことが書いてあって、
やっぱり優しいやつだなと思う。
台所の鍋に玉子粥が入っていた。
………俺が好きなやつ。
見ればスポーツドリンクも、ゼリーも
俺が好きなものばかり。
「………覚えてんだなぁ………」
もう、秋が、俺のこと好きじゃなくても、
さんざん俺が傷つけていても、
もう、遅くても。
「好きでいても、いいかな……」
ごめんな、秋。
こんな最低な男で。
やっと気づいたんだ。
お前のこと、本当に大切なんだって。
嫌われててもいいんだって思えるくらい、
秋が、好き。
せめて秋に好きな人ができるまでは、
まだ秋のこと、思っていてもいいだろうか。
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