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3人で 1
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「秋くんお待たせ〜」
「、、、悪いな秋、待ってもらって。」
十分くらいで通くんは外に出てきた。
それに、蒼も。
ほんとに、3人で回るんだ。
「ううん。大丈夫。」
あれ、前までどうやって話してたっけ?
ぎこちない話し方しかできない。
「じゃあさ、中庭のとこでワッフル買ってもいい?お腹空いちゃってさ〜。ちょっと食べてから色々見よ?秋くんもなんか食べる?」
「あ、えと、、僕は劇見る前に城田くんと色々食べてきたから、大丈夫。」
「そっか!でもアイスとか飲み物とかは?半券何枚かもらっちゃったんだよね。」
「じゃあ、飲み物だけもらってもいい?」
「いいよ〜はい!」
「ありがとう」
通くんがいつもみたいに話しかけてくるから、それに返答して、ミルクティーの半券をもらう。
「、、、秋」
「っ、、、何?」
一言も話してなかった蒼に名前を呼ばれた。
思わず、城田くんの影に少し隠れてしまった。
今のは流石に、態度、悪かったかも、、、。
「いや、あの、、さ、、。」
言いづらそうにしながら蒼が僕の顔を見る。
「その格好のまま、ずっと回るのか?」
「あ、、、!!!」
午前中からずっと着てるせいで存在を忘れていたけど、そういえば!!!
なんか意識するとめちゃめちゃ恥ずかしくなってきた。
宣伝のためとはいえ、この格好でずっと過ごしてんだった!!
「秋くんのクラスに戻ってから、着替えて中庭行く?」
「、、、でも宣伝のために着とけって言われてる」
「倉田、とりあえずこれずっと貸しとくから。」
城田くんのブレザーを肩からかけられて、とりあえず背中だけはガード。背中が本当に丸見えなんだよね、この服。
「てか、城田くん管弦楽でしょ??リハーサルあるんじゃないの?」
通くんがさっきの冷たい態度じゃなくて、皆に話すみたいに城田くんに声をかける。
それに、城田じゃなくて、城田くんって。
「、、、ああ、もう行くよ。じゃあ倉田、何かあったらちゃんと言えよ。リハ終わったら連絡してもいいか?」
「うん、わかった。リハーサル頑張ってね。」
ぽんぽんって僕の頭を撫でて、城田くんが音楽室の方に向かう。
蒼とすれ違う寸前、何かを言っていた気もするけど、小さくて僕には聞き取れなかった。
「じゃ、行こっか!」
蒼を真ん中にして、左右に僕と通くん。
初めて通くんに出会ってから、中学の間。
僕ら3人の定位置。
すごく、懐かしい。
「秋、目立つな。」
「へ?」
ボーッとしていたら、蒼に話しかけられる。
僕が、目立つ?
!!!
「ご、ごめんね、こんな、、、気持ち悪いよね?僕も恥ずかしいんだけど、くじ引きで、、、」
そういえば、この格好がきっかけで嫌な思いをしたんだった。
蒼、絶対気持ち悪いって思ってるよ。
やっぱり、1回戻ってなんとしてでも着替えるべきだった。
「や、気持ち悪いとかそんなの思ってないし、秋にそんなこと、思ったことないから。」
そっと頬を撫でられて、びっくりして顔をあげる。
「、、、いつでも可愛いよ、秋は。」
「え」
「蒼、何言ってんの?さっきの役がまだ抜けてないんじゃない?」
通くんがやんわりと蒼の手を僕から離して蒼と僕の間に入る。
びっくりした。
蒼が、僕のこと、可愛いって。
今までも言われたことあるけど、それは弟とか、家族に言うようなもので。
さっきのは、、、
いやいやいやいや、何考えてるの、自意識過剰!
通くんが言うように、まだ役が抜けてないのかもだし!
ってお豆腐屋さんで医者の息子だったけど。
びっくりして心臓がドキドキした。
、、、通くんにはあんなふうに言うのかな。
そういえば、二人は付き合っているのかな。
もしそうだったら、僕ってすごく邪魔なんじゃ?
通くん、なんで僕を誘ったんだろう?
今だって僕と蒼の間に通くんが来て、これじゃ最近の状況と何ら変わらない。
前みたいにって言ってたけど、それって蒼と通くんが仲良くしているのを僕が後ろから見てるだけだったことを言ってたの?
これじゃ、また苦しくなるだけだよ。
どんどんマイナスになっていく僕の思考。
隙を見て二人からは逸れようと思っていたら、通くんが僕と蒼の腕を取って走り出す。
「二人とも歩くの遅いよ!僕ほんとにお腹空いてるんだから、早く!」
「おい、いきなり走んなよ危ない。」
「えー蒼そんなに貧弱だったの?なんのためにバスケ部やってんの」
「俺じゃなくて、秋が危ないんだって。しかもお前は陸上部だろ。余計危ないわ」
「そんなに危ないかな〜?ごめんねー秋くん」
通くんが走る速度を緩めて、僕の顔を覗き込む。
「や、びっくりしただけだよ!大丈夫!!」
ほんとに、びっくりした。
てっきりまた僕だけ仲間はずれみたいにされて、二人が僕を置いていくんだと思っていたから。
「ほら、大丈夫って言ってるじゃん。蒼が弱すぎるんだよ。」
「いや今のは完全に気を使われただけだろ。秋優しいから。」
「、、、」
さっきから蒼の発言にいちいち顔が熱くなる。
なんか、大切にされてる感が。
もっと言うなら、通くんと会う前の、二人でずっと一緒だった、あの頃の蒼みたい。
気のせいだとは思うけど、、、。
だって蒼が好きなのは通くんで、通くんも、蒼のことが好きなはずで。
僕は、蒼と通くんにとっては邪魔者。
そうだよね?
だから諦めようって。
もう、離れようって思ってるのに。
なのに。
どうして、蒼の一言一言に、いちいち反応してしまうの。
ドキドキしてしまうの。
意識してしまうの。
蒼とのキスを思い出して、ドキドキしなかったから。もしかしたらもう僕は、蒼のこと、好きじゃなくなったのかなって思ってたのに。
もう、少しは諦められたって思っていたのに。
好きって、そう簡単には消せなくて。
すぐ嫌いになんてなれなくて。
離れていれば、諦められると思っていたのに、こんなにも近くで、前みたいに優しくしくされたら、もうわからなくなる。
どうして僕はこんなにも諦めが悪いの。
もう散々傷ついたのに。
城田くんに、あんなに迷惑をかけた、今だってかけ続けてる僕の蒼への気持ち。
まだ、捨てられない。
捨てるには、持ってた時間が長すぎて。
報われたいって思ってた、いつまでも報われることのなかった自分が、まだ捨てないでと顔を出す。
また傷つくだけなのに。
また、城田くんに迷惑をかけるだけなのに。
もしかしたら、好きになってもらえるのかなって期待してしまう自分が、
おこがましくて、
馬鹿みたいで、
みっともなくて、
恥ずかしくて。
ほんとにほんとに大嫌い。
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