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君に伝えれば
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ちゃんと、好きだと。
ちゃんと、君だけを愛しているんだと。
そう言えば君は今まで通りに隣で一緒に笑ってくれたのだろうか。
一緒に起きて、一緒にご飯を食べ、一緒にゆっくり歩いてくれたのだろうか。
後悔しても君はもう隣にはいないし戻ってくる事もない。
僕がもう君を愛してはいないのだと君が誤解を招いて飛び出してしまった。
追いかけると君は交差点に立っていて、名前を呼ぶと君は振り返った。
振り返ったのがいけなかった。立ち止まったのがいけなかった。
僕達は猛スピードのトラックに気づかなかったんだ。
君はトラックのに弾かれて。
下敷きにされ、血塗れになっていて。
思わず血溜まりに近づいた。
手を握るとゾッとする程冷たくて。
呼んでも呼んでも返事をしなくて。
誰かが叫んで、周りに人が集まって、煩いサイレンが近づいて。
君と一緒に救急車に乗せられて。
赤いランプが点灯して。
僕はいつのまにかドアの前の待合椅子に座らされていた。
何時間、何分かもしれない。よくわからない。ドアから出てきた医師の顔を見た時、君が帰ってこないのだと悟った。
膝が崩れて頭が回らない。
医師が肩に手を置いてきて、何か言っていた気がする。
最後に見た君の顔が声が頭に浮かんでくる。
泣いていた。もう好きじゃない?とか細く震えながら呟いていた。
それが最後。
それで最後。
君に伝えれば、君に誤解を招くような素振りを見せなければ。
君は今でも隣にいて、僕が起きるとおはようと言ってくれて、コーヒーをだしてくれていたりしたのだろうか。
休日に一緒に映画を観たいと言う君と映画を観れたかもしれないのに。
「映画、みれなくなっちゃった、ね…たのしみにしてたよね…」
小さくなり箱に入った君に言う。
当然のように返事はない。
ああ、好きだったなあ…愛してるよ…ずっとこの先も君だけ。この想いは君にだけ。
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