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「転校してきました。新井 蒼(あらい あおい)です。よろしくお願いします。」
クラス全員の顔を見渡す。
あ、いた…。
「よし、じゃあ和田の隣でも座っとけ。」
空いている席は右の窓側の一番後。その隣には俺の、理想であり、好きな人がいた。
心の少しガッツポーズ。
「よろしく…。な、名前はなんて言うんですか?」
「和田 夏輝(わだ なつき)。」
わだ、なつき…。心の中でぼそっとつぶやく。
思った通りの少し低い声。
近くで見ると顔は整っていて、かっこよかった。
連絡先交換してくれるかな…。でも、そんな自信俺には…。いやいや、ダメだ!変わらないと…。
SHRも終わり、残りは清掃だけとなった。
「あ、あの!良かったら連絡先交換してくれませんか?」
鞄からスマホを取り出し、QRを差し出してくる。
それを読み取り、追加した。
「敬語なんて使わなくていい。」
「あ…うん。」
夜、ベッドに潜り込みスマホ画面をじーっと見つめていた。
なんて送ろう。部活のこととか聞いてみよう。
一文字一文字、ゆっくりとミスがないように慎重に打つ。
「部活、何部入ってるの?」
唐突すぎただろうか。送信した後に不安になった。
「フットサル部」
思っていたより早く返信が帰ってきて、パニックになる。
「そうなんだ。」
思ったように会話が続かなくて、すぐに終わってしまった。
本当はもっと話したいのに。でも、連絡先を交換して、少しでも話せたことが嬉しくて、瞼を閉じた。
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