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「おはよう。」
「おう。」
体調が悪くないのに、二日連続で休むのは単位が心配なので憂鬱な気持ちのまま行くことにした。
「お前、なんで昨日休んだんだ。」
「ちょっと体調崩しちゃって…。」
「…ちゃんと飯食ってんのか?」
「食べてる」
本当は嘘。まともな食事はとっていない。料理はできるが、好きじゃない。
昨日なんて、何も食べてないし、一昨日はそこら辺で買ってきた弁当。昼のお弁当はしっかりと作っているが朝と夜は適当。
きっと夏輝のお母さんに言われたんだろう。食べてないって言ったら、心配されて夜ご飯を毎日一緒に食べることになりそうな気がした。なんでこんなに夏輝のお母さんに心配されてるのだろうか…。
会話はそのまま途切れてしまって何故か気まずい雰囲気になった。
「おはよう、蒼。」
「あ、蓮。おはよう。」
蓮と話していると、夏輝はスタスタと教室に行ってしまった。
「あれが蒼の好きな人?」
「うん。そうだよ。」
「なんか、無愛想?」
「かな…でも、夏輝は好きな人だけじゃなくて、理想でもあるんだ。」
自分は焦ってしまうと冷静な判断ができない。でも、夏輝は焦ったり、慌てたりしてても冷静な判断ができる。そして、あのクールな性格は自分のなりたい性格だ。
「じゃあね。」
「うん、また後で。」
朝のSHRも終わり、一限目が始まる。
家庭科だった。
「はい、じゃあ机を向かい合わせにして下さい。」
皆がいっせいに机を動かす。
机を引きずる音や、机と椅子の足がぶつかる音がなる。
俺の隣は夏輝。だから、向かい合わせの状態になる。
「なぁ、水月。俺、伊藤の隣に座りたいから俺の席と交換してくんね?」
「いいよ。」
叶ちゃんは荷物を持って夏輝の隣に座る。
せっかく夏輝と話せると思ったのに…。
訪れたチャンスは一瞬で奪われてしまった。
「子供の頃何して遊んでた?」
「俺は…覚えてない。」
目の前で夏輝が楽しそうに話している。
辛い。苦しい。胸が…痛い。
また鼻がツンとしてきて涙が出そうになったがなんとかこらえる。でも、さすがに限界がきてしまい、目から一粒の涙がこぼれ落ちた。
体調が悪くなったので保健室に行きたい。そう伝えて保健室に行った。
幸い保健の先生はいなく、俺は横になり声を押し殺して泣いた。
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