アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
11
-
とりあえずみんなが食べたいものは買うことが出来た。
土手に四人並んで座り、買ったものをそれぞれ食べる。
「いっただきー!」
「あ、てめぇ、俺の…この野郎!」
「うるさい…。あ、颯汰俺の焼きそば…!」
自分が買ったものを食べればいいのに、食べ物の取り合いが始まっていた。
「うるさいよ。シーッ!」
そう言うとみんなが静かになる。あまりうるさすぎると周りの目が痛い。
周りをキョロキョロと見渡す。いないよね…。安心し、そっと胸を撫で下ろす。
ヒュー、バーンと大きな音を立て一つの花火が空で大きく、美しく咲いた。
「きれい…」
「だね。」
たくさんの花火が空で咲き乱れる中、俺は少し視線を落とした。
見覚えのある後ろ姿。見覚えのある大きな背中。
夏輝だった。さっき見た見覚えのある後ろ姿は夏輝だったんだ。
隣にいるのは、誰?女の子?叶ちゃん…?
「蒼、見ちゃダメ。みんな、場所移動しよっか。もっと見える場所があるから。大丈夫?」
「ごめん…。」
俺なゆっくりと立ち上がり、人があまりいないけど花火が良く見える場所に移動した。
あの二人、手を繋いでいるような気がした…。
「ごめんね、変に気使わせちゃって。」
「蒼…無理して笑わないで…泣きたい時は泣いていいんだよ。」
涙がボロボロと溢れ出てきた。自分で制御することが出来ず、声を出しながら泣いてしまった。
大丈夫、大丈夫。そう言いながら颯汰が背中をさすってくれる。
なにもかもがうまくいきすぎて罰が当たったんだ。あの夏祭りの日、お揃いの着物きて、足を痛めておんぶまでしてもらった…。うまくいきすぎて、逆におかしかったんだ。あれは全部夢。あの幸せな時間も、心の底から夏輝と笑って過ごした時間も全部夢なんだ…。
泣き止むまで三人は見守っててくれた。本当に助けてもらってばかりだな。俺は何もしてあげられない。心の中で何回も謝った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
12 / 40