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不均等に俺の後ろから聞こえていた足音がぱたりと止まった。
「雪弥? どうかしたか? 」
振り返って見やると、小さな彼は「ごめん、なさい……」と声を漏らした。それでも、興味の視線はある一点に向けられたままで。
「いいの、いいの。雪弥、うさぎが気になるの? あ、もしかしてアレルギーとかだったりする? 」
慌てて問いかけたが、雪弥はふるふると首を振った。
「……本物、の、うさぎさん……、僕、初めて見た、から……」
うさぎを見たことがないとは一体どんな環境で育ったのかと疑問がわいた。けれども、キラキラと目を輝かせる雪弥を見て、そんなことなどどうだってよくなる。過去がどうであれ、今の雪弥を幸せにしてやりたい、なんて、柄にもないおこがましくもある想いが生まれた。
雪のような白い毛に、背中の一部にだけ茶色の毛が混じるうさぎを俺の膝に乗せる。そのうさぎは膝の上でじっとしてはくれず、あちこち服の端を噛んだ。
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