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控えめに鳴らされたドアのノックに「どうぞ」と反応する。
自宅ではいささか不自然な会話のように思われるが、俺の家ではもはや当たり前のように習慣化されつつあった。
「春くん、起きてた……。おはよう……ございます、っ」
雪弥と出会ってから、そろそろ半年が過ぎようとしていた。
その間に雪弥の親を名乗る者が現れるでもなく、昔から俺に兄弟がいたかのような日常。
リビングでの配席や配膳、その全てに雪弥の生を見ることができて、毎日安堵する。
ふわり、と消えてしまいそうな雪弥が今日もここに生きている、そう思えた。
「二人とも、ご飯食べる前に玄関覗いてみたら? きっと驚くわよ」
母にそう言われて「雪弥、行こうぜ」と手を差し出す。伸ばされた手に俺のより随分と白いそれが、何のためらいもなく重ねられるようになったのはつい先日のこと。初めてすんなりと握り返してくれた日には、あまりの嬉しさにその華奢な体を強く抱きしめて雪弥を困らせた。
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