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「わぁ……! 」
ドアを開けると同時に感嘆の声が漏れ出る。見える世界のすべてを白く覆う白雪に、どこか緩慢とした太陽が反射してキラキラと輝いていた。
「雪だな! それによく積もってる! 」
横で雪弥は目を輝かせて、眩しすぎるほどの雪景色に見入っていた。
「僕、雪、初めて見た……! とっても綺麗、だね……っ! 」
初めて見た雪がよほど嬉しいのか、ご飯を食べに戻ろうと手を引いてもちっとも動く気配がない。
「早く支度して、少し雪遊びしような! 」
そう声を掛ければ、「うんっ! 」と元気な返事が返ってくる。にこにこの笑顔は目の前に広がる銀世界よりも眩しく感じられた。
いつにも増して朝の支度が急ピッチで進められた。俺が歯磨きをしているのも待っていられないようで、隣に並んで一緒に歯を磨く。
俺の肩くらいまでしかない雪弥は、最初に比べれば肉もついたと思うがまだまだ平均には程遠い。
それでも、"中学校に通うんだ"という本人たっての希望で、俺が帰ってから一緒に少しずつ勉強を始めた。
物覚えは俺よりも格段に良く、いつかは立場が逆転しそうだなぁ、なんて最近は少し焦っていたりもする。
そのおかげで高校の授業の居眠りも一切なくなった。
まだ学校には通えていない雪弥は私服に着替え、俺は制服の上に部屋着のパーカーを羽織って外に出た。
身に刺さるような寒さが俺たちを包んだ。綺麗な雪を踏んだ時の特有の感覚が面白いのか、雪弥は誰にも踏まれていない綺麗な場所を踏みしめていた。
その後ろで俺は、緩く小さな雪玉をひっそりと拵え、雪弥の背中にそっと投げて当てた。
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