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王の部屋と医務室までの距離は、然ほど長くはない。
何故なら、私は王族専用の医務室長だから。
王族と言っても、本当の専用は王だけ。
王だけが私の治療を受けられるのだ。
王の部屋に着くと、扉が少しだけ開いているのに気が付いた。
「ナルラです。失礼します」
「入れ」
「はっ」
扉を開けると、数人の鬼が横たわっていて、その中心には、王族の殺人鬼が立っていた。
「王…これはまた、派手にさせましたね…」
呆れつつも、王の前まで足を運ぶ。
「衝動が抑えられなくなってきているようだ」
「……やはり、それで私を呼んだのですね」
解っていた、殺人鬼の衝動を鎮撫剤で沈めるため、私は呼ばれたのだと。
この、哀れな小鬼に、一時だけでも、穏やかな時間を与えるために。
「スリーシックス、アナタは本当に強い。王子もアナタを尊敬していましたよ」
「……」
「さ、腕を出してください。いつものように、なにも考えずに寝れるはずですよ」
素直に腕を出すときは、衝動が半減しているときだけ。
それ以外の時に近づくと、うっかり横たわる鬼と同じになるだけ。
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