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あの、バカっ!(遊)
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...遅い。
1時間も遅れるなら、連絡しろよっ!!
に、しても。変だ。
心配性で約束をちゃんと守るコウが
連絡も無しに1時間も遅刻なんて...
待ち合わせの10分前には大抵もういるし、
遅れるとしても必ず連絡は貰ってたし
理由も電車かバスの遅れがほとんどだし...。
なんか、いやな予感がする。
「いらっしゃいませー」
あぁっ!!やっと来た、
けど、様子があからさまにおかしい。
いつもなら両目が見えるように綺麗に整えてある、長い前髪が片目を隠している。
それに、ぼうっとしている。
あと、匂いが...
する。
番持ちであるコウが、フェロモンを漂わすなんて
ただ事じゃない。
「コウ!とりあえず薬飲め!」
コウに適量のフェロモン抑制剤と
店員さんに急ぎで持ってきてもらった水を押し付ける。
暇潰しに頼んだ、コーヒー代を払うために鞄から財布を出したとき。
コウが呟いた言葉に耳を疑った。
「もう、死んでしまいたい。」
『なにいってんだ』と茶化せるような様子でもない。
と、ふと。
頭に響く、教授の声。
『Ωには拒絶反応があってだなー』
...それか。
たしか、一番酷いのが『自殺』だったはず。
今のコウが、その状態だと仮定するなら...
その原因は?対処法は?
病院に行った方がいい?番は呼ぶ?
確か、拒絶反応が出る原因は
『番以外との接触』だったはず。
一番酷い場合は...『番以外との性交』
もしくは、『性的暴力』
もしも、そうだとするなら
服装は乱れるはずだし、ここにこれるはずがない。
なぜなら大抵のケースで、現場で意識を失っているから。
他に理由は...?!!!
なにかあったか?!!
考えろ...考えろ...考えろ...考えろ考えろ考えろっ!!!!!
どこへ行けばいいのかわからず、
取り敢えずコウの手首(肌は触ってないよ!)を掴んで歩き続ける。
して、また。
ぼそぼそと、話しかけてきた。
「あっくん、は。
僕が嫌になっちゃったの、かなぁ?」
...あっくん?
「みんなの、ATSU。だもんね...
僕だけのものじゃないもんね...」
ATSU...?!
「はは...
女の人、かぁ...
僕、捨てられちゃうのかなぁ?
ね 遊。」
その声は、悲しみ以外の何物でもなくて
絶望以外の何も感じられなかった。
そこで、目的地が大学になった。
病院に行けば番である、篤哉に連絡が行くからだ。
原因があいつなら、会わせてやれない。
旧友だからって、そこは譲れない。
だって、俺は
医者になるんだから。
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幸輝が大変。遊も大変。
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