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無自覚(hrkyっぽい)ky→(←?)hr
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『なぁラーヒー』
「ん、なに?」
俺が声をかけるとスマホを弄る手を止めゆっくりと俺の方を向く。
優しい声と、眼差し。
今はこいつの優しさ全部が俺に向けられていて。
少し黙ったままでいると不思議そうに「どうした?」と首を傾げる。
『…あー、やっぱいい』
「…ふーん?」
ヒラは納得いかなさそうな顔をしながらもまたスマホに目を落とした。
2人きり。俺の家。他の2人がいないこの空間の居心地が、どうも落ち着かない。悪い意味ではないのだが、他のメンバーと2人になる時とはまた違うというか。…いや、違うのは当然のことだけれど。
ヒラと2人になる時は、何故か話す話題に迷って、ヒラの言うことすること一つ一つが気になって。普段他のメンバーといる時とは違って、あたふたしている自分がいる。
こんなことに気が付いたのは、つい最近で。
ヒラのこと、嫌いなわけじゃないのに。
話せなくて気まずくてあたふたする、なんておかしい。そんなことわかっちゃいるけど。
ヒラ本人にそれを話そうとすればするほど、言葉が詰まって出てこなくなる。
…ダメだ。また今日も話せない。
そう思った俺は座っていたソファから立ち上がり『コンビニ行ってくる』とヒラにさらっと伝えた。
…逃げの言葉なら、こんなにも簡単に出てくるのに。
『……っ!?』
ドアノブに手をかけて部屋を出ようとしたが、体が急に動かなくなった。
…否、ヒラに腕を掴まれて動けなかった。
『ヒ…ラ?』
「キヨ…あのさ」
『あっ?ああラーヒーの分もなんか買ってきてやるよ!なにがいい?サーモン?』
「…ちがくて」
『へ…サーモンを拒否るとか珍しいなー、ラーヒー』
「…キヨ」
俺は自分を誤魔化すのに必死で、ヒラが心配そうな顔をしていることに気付くのが遅れた。
『な…なんだよ、なんでそんな顔…』
「最近さ、キヨ、俺に話しかけてもなんでもないって言ってばっかり。気付かないとでも思った?なんでもないわけないじゃん」
『…なんで、そう思うんだよ』
「だって…キヨ、なんでもないって言ったあといつも寂しそうな顔してる」
…してたのか。いや、俺には全く自覚はない。
でもヒラが言うぐらいだから、きっとそうだったんだろう。
ヒラは昔から、人一倍他人をよく見ているから。
『……わりぃ、そうかも』
いつもなら言い返してねじ伏せてやりたいと思うはずなのに、何故か今は胸が痛むだけ。
「…無理に聞いたりはしないけどさ、俺キヨがつらいのは嫌だから…」
『じゃあ…さ』
『…寂しい…から、今日だけ、でいいから、帰らないでくんね?』
ヒラは目を見開いたがすぐ頬を緩ませた。
「全然いいよ。けど…それだけでいいの?」
こういうときのヒラは…いや、いつもヒラはとことん良い奴で、他人が困っている時必ずと言っていい程助けようとする。決まってヒラが損をする、お決まりのパターン。
『いいよ、明日も寂しかったらまた明日お願いするわ』
「ふは、なにそれ」
『いいじゃんどうせ明日も実況撮るんだし。お前ヒマだろ』
「…ヒマだから何も言い返せない」
あれ、
俺自然に話せてる。
ヒラを見てると、相変わらず胸がもやもやして痛むけど。
『…なぁ、ラーヒー』
「ん、なに?」
『…話すから、絶対』
瞬間、ぱぁ、と効果音がつきそうなほど、ヒラは嬉しそうに微笑んだ。
「うん!いいよ、待つ」
優しい声と、眼差し。
今はその全部が、俺に向けられている。
ヒラは誰にだってその優しさを向けるんだろう。
だってそれが“ヒラ“だから。
俺にだけだったらいいな、なんて。
とうとう俺まで頭がおかしくなったのだろうか。
でも…この胸の痛みは______。
end
#####
※そう遠くない未来にキヨがヒラに最近お前といると胸が痛むわ、的な話をするのですが、それでヒラだけがキヨが俺に恋をしている、ということに気付いて(キヨはまだ自分の気持ちに気付かない)1人であたふたする話があったらいいな。と思ってます。
続くかはわかりません…
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