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『何が食べたい?』
米の海を二人で並んで歩く。
『鹿鍋』
『…お前、よく俺にそれ言えるよな…』
『…だけど、お前だって食べるだろ』
『まぁ…な』
そのまま二人で街の方まで歩きながら、たわいもない話をする。
あそこの家の人間が結婚したとか、大神の娘が海の向こうを見に行ったとか…
そんな事を話しながら、夕暮れの空を見ると切なくなった。
時々こうなることがある。
『なぁ………お前は未来の事を考えたことがあるか?』
『は?…まぁあるけど』
『…ずっと先の話なんだけど…何十年、何百年、俺が死んだ後のずっと、ずっと先の世界は』
『随分先だな…』
『そうなんだが、どんな物があるんだろうな…』
それはよく分からない不安だった。
『俺が死んだ後も必ず物作りは発展していく。だからきっとみんなの生活はどんどん豊かになっていくだろう。だけどその先…
その先の未来は…どうなっていくんだろうな?
便利な物の方が多くなったら、その時皆んなは…』
“何のために生きるのか、分からなくなってしまうじゃないんだろうか?”
そんな未来なんてそもそも想像できないのに、何故かそう思ってしまった。
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