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それは肌を焼くような暑さが落ち着いた9月の夜だった。
近所の子供達とお祭りに行く約束を私はしていたが、その日は昼間から雷がなっていた。
祭りの延期が伝わったが、初めて友達だけで出かける花火を楽しみにしていた私は、ショックで雨が上がった夕方のジメッとした中を一人、隣町の神社に行ったのだった。
コンクリートの参道には水溜りができていて、時折木の葉に残った雫が落ちてきて、私の頭を濡らした。
水を被った社は雰囲気があって図書館の本の異世界のようだった。
とりあえず社の階段で濡れていない所に座った。
けれどすることは無くてなんとなく足をブラブラさせたり、地面に絵を描いたりしていた。
「あれ、こんな日に人がいる」
頭上から降ってきた声に顔を上げると、白いシャツを着た高校生が私を見ていた。
「今日は花火も中止になっちゃたね…」
「………」
彼の問いに答えなかったら、彼は私を近くを通って階段に座った。
そして持っていたコンビニのビニール袋からたけのこの里を取り出すと食べ始めた。
「…知ってる?ここから花火が綺麗に見えるんだよ」
「………ん」
喉が塞がったみたいに、あまり大きな声じゃなかったから彼に通じたかは分からなかった。
「………俺は光彦(みつひこ)。君の名前は?」
「………知らない人に、教えちゃダメだって先生が……」
「えー。うーんじゃあいいか。君は何でここに来たの?今日お祭りに中止でしょ」
「…そうだけど、行ってみたかったから」
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