アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
、
-
差し出された紙を受け取るとそこには何の違和感もなく090-から始まる番号が書かれていた。
なぜかそれが、私たちが大人になったことを強く感じさせた。
もう、医者にも治せないって言われてたのにな…
「今日はもう帰るよ。家でみちと二人で考える。…もう一度会えてよかったよ、光彦」
「……ああ、俺は待ってるから」
紙をポッケトにねじ込んで、どこか放心しているみちの手を引いて神社を後にする。
帰り道はお互い無言だった。
私も放心していたのかもしれない。
自分の余命を数える人生だったのが、急にその先もあるのだと教えられて…
繋いでいた手が震えているのが分かって、私はみちが泣いているのに気がついた。
「みち…、」
大丈夫なわけ…ないか。
我が家にたどり着くと、リビングにあるソファーに彼を座らせる。
お湯を沸かそうと立ち上がると、手をつかまれた。
「なぁ、あいつなんなんだ?」
涙が零れ落ちた目はまだ、真っ赤だった。
「神様だよ。本物ののね」
「………」
「光彦の存在をすぐに信じられないのは分かるよ。二十年以上前のことだから私は信じられたけど、今初めてあったなら信じられなかったかもしれない。
今日はもう休もう、お湯持っていくから」
「…信じてるのなら、俺の目欲しくないのか?」
「みち」
「なんで、なんであいつが神なんだよ。神様なら条件なんかなしに治せってんだ。あんな、医者みたいな口調で、言ってることも滅茶苦茶だ。
だけど、お前は信じてるんだろ?
だったらあげるよ俺の片目ぐら…」
「みち‼」
抱きしめて落ち着かせようとしたけど、みちはまた泣き出してしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
30 / 51