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「あいつ、ほんとは弓の神様なんじゃないのか?」
帰りの車の中で唐突にみちは言った。
「そうかも、知れないな」
「ねぇ、何それ」
「ははっ」
ほんとに、すごいよ光彦は…
弦切れなんてそもそもめったに起きることじゃない。
それを光彦は自分で起こしたのだ。
しかも弦の真ん中で、的心に矢を当てて。
「凄いよ」
「うん。正しい射だった」
正射必中は弓道の理念だ。正しい射は必ず的に当たる。
だけれど正しい射というものは難しいものだ。
それに正しくない射でも自分に合っていれば的に当てることができる。
その中で正しい射を目指すというのは、相当な努力と精神力がいるのだ。
「……信じるよ」
「え?」
「光彦を俺も信じる。信じたい」
「みち」
「俺は弓道の先生じゃないから確定はできないけど、でも光彦の射を見てたらすぐ分かったよ。光彦は絶対嘘だったり、誤魔化したりしない。一途で真っ直ぐだ。彼の矢飛びみたいに」
「うん」
そうだ。だから私は彼と親友になったのだ。
その日、私は光彦に治療を受ける電話をした。
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