アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
御来城
-
やっと会える。
大好きなお兄さんに。
そう楽しみにしてたのに…
バンッと部屋の扉が開くと同時に飛んできたのは短剣の様なものだった。
僕の頬をかすり壁に刺さる。
頬からはツーっと血が流れポタリと床に落ちた。
「なに…これ。」
傷がジーンと痛む。
僕の目の前にいるのは昔より大人になった大好きなお兄さんとその仲間だ。
僕を傷つけた刃物を投げたのはお兄さんの隣にいる忍だろう。
その隣には人間と魔族のハーフの回復系の魔法使いと拳闘士もいる。
「僕は…」
"ダンッ"
今度は魔法使いによって壁に穴が空けられた。
どうして…?
お兄さんは僕を覚えていない。
話せば大丈夫って思ってたのに。
「お前さえいなければ…誰も死なずに済んだんだ!」
お兄さんは僕をまっすぐ睨んで言う。
ねぇ、それってどういう事?
僕は何も知らない。
ただ僕に分かったのはお兄さんの憎悪が僕に向いていて、そこにいるのが僕の知っているお兄さんじゃないって事だ。
「くっ…は…っ」
お兄さんの大剣が僕のお腹を貫いた。
真っ赤な血が僕の瞳にうつり、
「う、あ"ぁぁぁぁ」
体が熱くて、痛いのか何なのかも分からない。
ただ悲しくなって涙が零れた。
「たす、け、て……おにいさん…」
掠れた声で残された力を絞りきって吐き出したその言葉が届いたのかは分からない。
僕はそのまま意識を失った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 52