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先生、②
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「具合悪いのか?今は少し良くなったけど......さっきまで、顔、真っ青だった」
ついつい先生の顔に見惚れてしまい、「おい、聞いてんのかよ、」という声ではたと我に返る。
「あっ、えと、はいっ!もう、大丈夫.....大丈夫、です、」
本当かよ?と言いたげな疑わし気な眼差しで僕のことを見る。
個人差はあるが、パニック障害の発作は誰かと話していたりして気が紛れると、格段に起こりにくくなる。発作が起こるのも、治まるのも、些細なきっかけである事がほとんだ。だから、「仮病」と周囲の人から誤解されてしまうことが多い。
「どこで降りンの、」
「次の駅です。だから、もう5分もすれば、着きます、」
あんなに苦痛だった電車の時間が、時間が経つのが惜しいくらい幸せな時間になるなんて.....と一人で感傷に浸っていると、先生は片方の手はぎゅっと握ったままで、もう片方の手で僕の背中を優しく上下に撫でた。
「.....先生、」
「....俺でよければ、いつでも相談に乗るから。お前、今にも死にそうな顔してたよ、」
ずっと誰かに打ち明けたかった。けれど、病気のことで距離を置かれたり、逆に心無いことを言われたりするのが怖くて、誰にも言えなかった。この病気を独りで抱え込むのは、もう限界かもしれない。先生、.....頼っても、いいですか?
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