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どろどろの邪心(1/12)
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小さい頃、かーちゃんの実家の大きな裏山の中で迷子になった。
左右を見渡すと、生い茂った木々。
上を見上げると、その高い木々は疎らに空を切り取っていて、太陽の光を殆ど通さなかった。
ここは一体どこ?
地面に置いた虫かごの中にいる蝉の鳴き声が鼓膜を揺らし、不安を誘う。
……突如、背後の草むらからガサガサという音がした。
驚いて、汗ばんだ手の平から虫取り編みが滑り落ちた。
…背後に、何かがいる気配がする。
俺は怖くて振り向けず、腰を抜かして地べたに尻をついた。
心細くて、我慢できずに泣きじゃくり始める。
「かーちゃん…とーちゃぁん……!」
「……我はお前の母親でも父親でもないが」
「……!」
人の声がしたから、泣くのをやめて、パッと後ろを振り向いた。
…白と赤を基調にした浴衣に身を包み、狐のお面を顔につけた青年が立っている。
面の穴から覗いているその紅い瞳は俺に注がれ、青年の白い髪は木漏れ日で透けるように光った。
これが、俺と白の出会い。
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