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どろどろの邪心(4/12)
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「……白?」
「…!あまり近づくな、ヒトの子。喰い殺すぞ」
「どーやって……?」
「我は人間ではない。化け狐だ。日が落ちれば本来の姿に戻り、ヒトの子など簡単に噛みちぎって喰らう」
「でも、今はまだ明るいし……。それに白は優しいから、そんな事しないよ」
純粋な微笑みを見せる少年。
何を根拠に我を信用しているのか。
我が脱力して川の畔に座りこむと、少年は上着も脱ぎ捨て、全裸で水遊びを始めた。
少年の体は、日焼けの跡と焼けていない白い肌の境が、くっきりと見てとれる。
……本音を言わせてもらおう。
柔らかそうで、うまそうだ。
「ねー、白」
「何だ」
「白は狐さんの顔だから、お面で隠してるの?」
「違う。ヒトの姿を形どっているときは、普通のヒトの顔だ」
「じゃあ見せて!」
「ならぬ。……ヒトの子に顔を見られると我の命のともしびは消えてしまう。我の顔を見た者も同様にな」
「白……死んじゃうの?」
「小僧が我の顔を見ようとせねば死ぬことはない。……我は不老不死だからな」
「ふろーふし……?」
「歳をとらず、死なぬということだ」
少年は我の話を聞くと俯く。
そして寂しそうな表情で我を見た。
「俺、絶対に白の顔、見ないよ。白が死んだら嫌だもん…」
「そうか」
我は聞き流すように相槌を打つと、少年の脱ぎ散らかした着物を拾い、尿の染み付いたそれを洗い始める。
「干しておけば、夕刻までには乾くであろう。着物が乾いたら、山のふもとまで送ってやる」
「俺のばーちゃん家まで来ないの?」
「……我はこの山から出ることができない」
「どうして?」
「山の主が、呪いで我を縛りつけているのだ」
「山の神様…が?白は悪い事してないのに、何で呪われてるの?」
「言ったろう、ヒトの子よ。我は"化け狐"だと」
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