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黒い
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物心ついたときには、真っ暗な部屋にいました。
手や足を動かすと固くて冷たい音が鳴ります。
お腹は空いていませんでしたが、自分の中の何かが抜け落ちたようです。
僕は本当に僕なのでしょうか。
世界がこんなに暗くて寒いなら、神様はとんでもない失敗を犯したに違いありません。
だって、退屈です。
黒という表現は知っています。ちょうど世界の色と同じです。
黒、黒、黒の世界。
ずっとこうなのに、生き物はどうしてこんな表現を作ったのでしょう。一つしかないのなら、表す意味もないのに。
僕のいるこの場所には、おかしな同居人がいます。
でも僕はそれが嫌いです。僕を管理するヒトが、何かしら良くない目的でそれを飼っているのを知っていますから。
べたっとして気持ち悪いし、理性がないかのようにあちこち触ってくるのは嫌です。怖いです。
でも...そうやって僕が厭がるのを見て楽しんでいるようなのです。
一度だけ、奥深くまで侵入されたことがありました。
本能的に危ないとわかりましたが、冷たくて固い何かのせいであまり離れて逃げられません。
それが押し込まれ、中で動いて、なぜか徐々に肥大化し熱を含み、頭の中で『黒ではない何か』が明滅して僕が僕の意思と関係なく甲高い声を発し、意識が吹っ飛ぶまでは覚えています。
ですが、目が覚めて気付いた、腹から腿にかけて絡みついた生暖かいものの正体は結局わかりませんでした。
あまり気分のいいものではないのですが。
自分を持て余し、ときおり近付いて来る同居人に身を任せておくというサイクルは習慣化しました。
要するに飽きたのです。
みんなこうなのでしょうか。
そうならとっくに世界は滅びてしまっているのに。
...また、来ましたね。ええ、好きにしてください。
どうせこの身体でやることなんてありませんから。
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