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第一章~高校2年生・春~4
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「廣川、ちょっとこっちも手伝ってくれる?」
「あ、はい!今いきます!」
「悪い。これは本当は俺たちでどうにかするべきなんだけど…」
「気にしないでください。マネージャーなんで、俺に出来ることなら何でもやりますから。」
部長の世那先輩とはよくしゃべるようになった。
千先輩がいなくなって1人でマネージャーをする俺を大分気を使ってくれて。
去年から2年生代表として2年生(今の3年生)をまとめてはいたけど、やっぱり部活の部長は大変らしくて、世那先輩も疲れてるはずなのに。
八尋先輩は、やっぱり相当偉大だったんだと思う。
圧倒的なカリスマ性、とでも言うのだろうか。
部員は八尋先輩の言うことは聞くし、尊敬もしていた。
嫌いとか悪口とか聞いたことない。
そんな八尋先輩の後に部長になった世那先輩はやっぱりプレッシャーとかあるのかもしれない。
それでも俺を気遣ってくれる本当に優しい先輩。
「そう言えば、クラスどうだった?久夜と同じクラスなれた?」
「あ、はい。」
「そっか、良かったね。何組?」
「9組です。」
世那先輩はバスケをしなくていいの?と思うくらい俺の仕事を手伝ってくれて、一緒に洗濯物を干す。
……本当、なんで手伝ってくれてるんだろう。
本当なら俺1人でやらなきゃいけないことだと思うんだけど。
「あ、一緒だ。俺も9組。体育祭強そうなやついる?」
「えっ、本当ですか!?
クラスには久夜とサッカー部の久我くんと陸上部の氷野彼方って2年生で有名な3人はいます。多分相当早いんじゃないですか?」
「マジ?氷野ってあれだろ?陸上のプリンスってやつ。」
「あー、そんな感じです。」
そう言えば去年の最初に言われてたなぁ。そんなこと。
やっぱどの学年にも知られてるんだ。
凄いなぁ、彼方は。
「足の速い一年も入ってきてくれるといいんだけど。今年のリレーのためにも。」
「え、3年生主体じゃ…」
「いや、去年の3年の先輩たちが異様に早かっただけだよ。今の3年はみんな普通。
今の2年も、久夜と仁…あと麗くらいだろ?今年の部活対抗やばいんだよな。
かといって負けるわけにもいかないし。」
そう言えば、学年関係なしに速い人駆り出すんだった。
去年走ってたのは半分以上3年生で、今の3年生だと世那先輩と翼(たすく)先輩か…
あと久夜の3人しかいないんだもんなぁ。
確かに少ない。
去年の3年生はほんとに速かったんだ…
「まぁそれはそれだね。明後日からの仮入部に人が来てくれるかどうかだし。
廣川もマネージャーの後輩ほしくない?」
「あー、ほしいですね。でも後輩に教えられる自信もないので、ちょっと微妙なところです。」
自分の仕事も微妙なのに、それを後輩に教えるとか、無理だ。
でもマネージャーいないのも、将来的に困るし、いてほしい気持ちもある。
「ははっ。廣川なら大丈夫だよ。よし。これで洗濯物は終わり。中入ろ。」
「はい。」
世那先輩って本当に不思議な人だよな。
優しいし、気配り上手だし、なんでもできるけど、一歩他人に踏み込ませないってゆーか。
独自のワールドが築きあげられてる感じがする。
世那先輩を追って、体育館の中に入れば、部員の皆が練習をやめて先輩の前に集まる。
……人数が少なくなったと言えども集合されちゃうと圧倒されるんだよなぁ。
普通に怖い。
それから世那先輩の話を少しだけ聞いてまた練習が再開される。
新学期初日だろうと、部活夜の7時まで続いた。
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